尾崎裕哉、“いい男”を語る – GQ JAPAN



シンガーソングライターの尾崎裕哉が10月4日、2nd EP『SEIZE THE DAY』をリリースする。初の映画主題歌「Glory Days」を含む盤だ。映画の主人公レントンは英雄の息子で、尾崎豊を父に持つかれと境遇が重なる。尾崎はなにを語るか?
文・森朋之 写真・Taka Mayumi(Sept.) スタイリング・森川マサノリ(CHRISTIAN DADA) ヘア&メイク・吉田太郎

父親が遺した音源を幼少期から繰り返し聴き続けて歌唱力を鍛え、バークリー音楽大学の短期プログラムに参加して音楽スキルを習得。ストイックに男を磨いてきた。

才能の開花
伝説のアーティスト、尾崎豊を父に持ち、テレビの歌番組で名曲「ILOVE YOU」をカバーした際は「声が父親にそっくり」と話題を集めたが、2017年3月にリリースされた1st EP「LET FREEDOM RING」によってかれは、シンガーソングライターとしてのアイデンティを明確に示してみせた。“都会的なブルース・フィーリング”と称すべきギタープレイ、エレクトロ、ハウスミュージックなどにも通じるトラックメイク、そして、2010年代の社会に生きる人々をリリカルに描いた楽曲——。尾崎裕哉の音楽を構成するそれらのファクターにさらに磨きをかけたのが、2nd EP「SEIZE THE DAY」だ。

「Glory Days」(劇場版アニメ「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1主題歌」)をリードトラックに据えた本作で尾崎裕哉は、サウンド、メロディ、歌詞のすべてにおいて、より開かれた作風を提示している。シンガーソングライターとしてのオリジナリティを失わずに、ポップスとしてのクオリティを上げた本作によって、彼の音楽の魅力はさらに幅広いフィールドで認知されることになるだろう。『GQ JAPAN』には今回が初登場。話は新作の制作プロセス、ビジュアルディレクションを手がけるデザイナー・森川マサノリ(CHRISTIAN DADA)との関係性、さらに尾崎裕哉にとっての“いい男”へと及んだ。

今を生きるための言葉
——2nd EP「SEIZE THE DAY」のリードトラック「Glory Days」は「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」の主題歌として話題を集めています。

「Glory Days」はもともとプロデューサーの蔦谷好位置さんと一緒に作っていた曲だったんです。夏フェスシーズの前だったし「ライブで盛り上がれる曲が欲しいね」ということで、この曲のトラックとサビのメロディが送られてきて。制作を進めているときに映画の主題歌の話をいただいたんですよね。映画スタッフの方がたまたま僕の「サムデイ・スマイル」を聴いて、「この人しかいない」と思ってくれたみたいで。「Glory Days」と「サムデイ・スマイル」にはいしわたり淳治さんも参加してもらっているんですが、(いしわたりが在籍していた)SUPERCARもエウレカセブンの挿入歌(「STORYWRITER」)を担当したことがあって。運命的な巡り合わせだなと思いますね。

——歌詞の内容については?

劇中に「ねだるな勝ち取れ。さすれば与えられん」というセリフが何度もリフレインされるんですが、そのフレーズに共感して。それをメッセージの中心に置いて歌詞を作っていきました。僕の信条の一つに「自分の人生の責任は自分にしか取れない」というのがあるんです。大事なのは自分がやるかどうか。何事も自分で勝ち取らなくちゃいけないっていう……。今はチームで活動しているし、支えてくれるスタッフもいる。頼るべきところは頼ったほうがいいかもしれないけど、自分が中心になって動かないと物事は回っていかないので。もともと甘んじてしまうタイプだから、上手くいかないときは「自分の人生の責任は自分にしか取れない」という言葉に立ち帰るようにしています。

——そのほか“金に物言わせて手にした/心の豊かさなんてフェイク”という歌詞が印象的な「シアワセカイ」、刹那的な恋愛を描いた「愛か恋なんて(どうでもいいや)」などを収録しています。EPのタイトル「SEIZE THE DAY」にはどんな意味が込められているんですか?

1st EPの「LET FREEDOM RING(自由の鐘を鳴らせ)」の次に来る言葉は何だろう? と考えたんです。前作でアーティストとして走り出したわけですけど、そのなかで言えることは「今を生きる」ということかなと。未来と過去の間に今があるというのは、理想と現実の狭間にいることと同じだと思うんです。常に理想を求めながら、今をしっかり生きる——それは「Glory Days」や「シアワセカイ」にもつながるメッセージなのかなって。

——理想のアーティスト像に近づけている手応えを感じていますか?

全然ないですね。制作のスタイルもどんどん変化していくと思うし、まずは自分が成長することが大事なのかなって。自分との戦いですね、まだまだ。




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