“稼ぐ財務”がグローバル成長のカギ 財務部門が価値を生み出すためには? – ITmedia






 「グローバル化」が企業の経営戦略に欠かせない言葉となって久しい。さまざまな業種や規模の日本企業が海外に事業を展開し、拡大市場への販路を模索している。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、主要企業の海外売上高比率は2015年度に58.3%となり、過去最高になった。10年前、05年度の35.1%と比べると、飛躍的に伸びている。

 海外事業を成功させるためには何が必要だろうか。魅力的な商品や戦略的な販路開拓だけではない。日本から遠く離れた現地法人や、商習慣が異なる取引先との適切なオペレーションが必要不可欠。それは、新事業進出やM&Aなどの経営判断、不正を防ぐリスク管理といったビジネスの根幹に関わる。資金効率を最大化し、リスクを最小化するための「財務管理」が海外ビジネスの鍵を握っているのだ。

 グローバルビジネスに進出している多くの日本企業が、この財務管理に課題を持っている。その課題を解決するソリューションを提供しているのが、キリバだ。クラウド型の財務管理・資金管理ソリューション「キリバ・エンタープライズ」は、世界のグローバル企業1600社以上で利用されている。

 日本企業が抱える財務の課題とは何か。キリバはそれをどのように解決できるのか。顧客企業の財務管理の高度化をサポートする、キリバ・ジャパンのトレジャリー アドバイザリー ディレクター、下村真輝氏に聞いた。

まだまだ不十分な日本企業の財務

photoキリバ・ジャパンのトレジャリー アドバイザリー ディレクター、下村真輝氏

 現代の経営環境を表す言葉に「VUCA(ブーカ)」がある。「Volatility(変動)」「Uncertainty(不確実)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity(曖昧)」の頭文字を取った言葉だ。為替変動など市場環境の急激な変化、災害、不祥事、技術革新など、大きな変化につながる出来事が相次ぎ発生し、先を見通しにくい時代が続いている。

 その時代にグローバル展開に挑む企業の財務部門には、財務管理の効率性を高めることが求められるようになってきた。その背景には、グローバルベースでの経営の見える化、全体最適の実現による企業価値の向上などの課題がある。

 一方、「日本企業の取り組みはまだまだ不十分です」と下村氏は指摘する。財務部門は管理部門の一組織、場合によっては経理部の一機能であることが多く、決済尻の資金を見て支払いを履行するだけの業務にととどまっていることが多いという。

 「お客さまもその課題を実感しています。例えば、突発的な資金需要が発生したらどのように対処するか。ビジネスがダウンサイドに振れたらどのように対処するか、というシナリオを持って、事業部門がアクションを起こすときに財務が足かせとならないようにしておきたいと感じられています」。具体的には、資金効率の最大化、業務の効率化・高度化、財務リスクの最小化、財務ガバナンスの強化を目的とした、グローバル財務管理を高度化する取り組みの需要があるという。

 一方で、その取り組みの実現を妨げる要因の1つが、表計算ソフトへの依存だ。表計算ソフトで子会社がそれぞれまとめた資金残高などの数字を月1回集計し、経営判断の材料にする。その方法では時間と手間がかかり、ミスも発生しやすい。その上、定期的な集計では資金状況を即時的に把握することができず、スピーディーな市場の変化についていけない。事務負荷の低減や標準化を実現するには、そこから脱する必要がある。

 また、リスク管理も大きな課題だ。特に為替については、成長市場を取り込むために新興国に進出する企業は多いが、現地通貨の変動リスクも大きい。海外法人による不正や事務ミスといったオペレーショナルリスクや、取引先の信用リスクも適切にコントロールする必要がある。

 「海外子会社のオペレーションについては、現地に任せがちになっています。そうではなく、本社が司令塔となって子会社と密にコミュニケーションを取り、グループの財務状況を把握し、全体最適の視点で規律を確保しなければならないのです」と下村氏は指摘する。

クラウドサービスで資金を見える化

 そうしたグローバル企業の財務部門を取り巻く課題に対応するのが、「キリバ・エンタープライズ」だ。キリバのソリューションは、財務部門を単なる管理部門ではなく、経営を支えるビジネスパートナーに変革することを目指している。

 その最大の特徴は、クラウド型のシステムであること。海外子会社の資金状況をリアルタイムで把握できることに加え、導入や運用にかかるコストや手間を抑えられる。対応する業務も幅広く、資金管理、銀行取引、支払いなど、必要な業務をモジュールで提供。使いたいモジュールだけを選択して導入できる。

 インターネット接続環境があればどこでも手軽に必要な機能を導入できるということは、財務業務の効率化や高度化につながる。

 効率化という面では、まずは導入コストのメリットがある。グローバルに拠点を展開している企業では、社内でシステム構築するオンプレミス型を導入しようとすると、拠点ごとの設置や設定が必要となり、準備時間とコストが大きくなる。クラウド型であれば、短期間でシステムを展開できる。変わりやすい外部環境やニーズにも柔軟に対応しやすい。

 さらに、世界1000以上の金融機関との接続実績を誇るマルチバンク接続機能があるため、グローバルベースで口座取引をリアルタイムで可視化できる。

 銀行口座を見直す機会にもなる。例えば資金の可視化を行う場合、運用コストが、利用するモジュール数、ユーザー数に加えて銀行口座の接続数で決まるからだ。接続作業時に不要な口座を洗い出し、普段から利用する口座を集約して、そこに資金を集めるようにすれば、結果的には資金の可視化、業務プロセス改善、銀行手数料削減などの効果が期待できる。「“なあなあ”になっていた財務管理業務の見直しに着手する機会になります」

photo「キリバ・エンタープライズ」のソリューション全体像。必要な業務をモジュール化して提供する

高度な財務人材の育成にも

 財務業務が効率化し、グローバルで資金の見える化を実現することができれば、財務部門は付加価値の高い業務に集中できる。企業の成長戦略に欠かせない、財務の高度化に取り組むことができるのだ。

 それによって、日本企業が課題としている財務の人材育成にも着手できる。事業会社の財務部門に在籍した経験を持つ下村氏は「表計算ソフトをベースとした業務で、社内の先輩の背中見て学ぶ、いわゆるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)だけでは、みんな同じような知識レベル・ノウハウの人材になってしまい、従来から続くその企業のレベルの域を出ません。変化が激しく、常に新しいことが求められる今、企業の枠を超えた人材育成が必要です」と指摘する。

 キリバが提供するソリューションでは、ユーザー画面が全世界共通。日本でも海外子会社でも同じ仕組みを使っていることから、グループ内の財務情報のコミュニケーションレベルを引き上げることができる。また、グループ内での財務人材の流動性を高めることも可能だ。

 また、世界1600社以上の導入実績があるため、財務の高度化が進んでいる企業の最先端のノウハウが集まっている。その情報を反映して、半年に1回、無償アップデートを実施。同じシステムを使い続けながら、オペレーションをさらに洗練されたものにしていくことができるのだ。

 「財務の人材教育は、OJTが中心。グローバルのベストプラクティスといえるシステムを使えば、日々の業務でより良い財務管理のやり方を学ぶことができます」

 高度な財務人材育成に対しては、国も取り組みを進めており、OJTだけでは習得困難な内容を提供する研修プログラムを高度金融人材産学協議会が実施している。2017年度「産学連携OFF-JT。17年度「産学連携OFF-JTプログラム(関西地区)」では、下村氏がグローバル・トレジャリー・マネジメントの講義を担当。企業の財務担当者が財務管理の実態や課題を知り、考え方を身に付けていくことが求められている。

コニカミノルタ、野村総合研究所、JVCケンウッドの導入効果

 「キリバ・エンタープライズ」は、日本のグローバル企業でも多く導入され、財務業務の高度化に貢献している。3社の事例を紹介する。

 まずは海外売上高比率が約8割を占めるコニカミノルタだ。導入のきっかけは13年の「バーナンキ・ショック」。FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長(当時)による量的緩和の縮小発言を引き金とした市場の混乱により、グループ会社が保有する新興国通貨で想定以上の為替差損が発生。グローバルベースの資金管理ができていないことに気付いた。

 導入後は、グループ会社が抱える余剰資金を洗い出し、手元のキャッシュを約半分に圧縮。必要のない資金を減らし、リスクを下げた。また、グループ会社間の取引をキャッシュレス化。銀行手数料などのコストを大幅に削減した。

 野村総合研究所は、15年10月の中国企業買収に伴い、直前の8月に資金管理モジュールを導入。10月には中国子会社が保有する銀行口座をシステムに接続し、統合初日から資金の可視化を実現した。短期間で導入でき、すぐに子会社の資金の状況を把握できるというメリットを最大限に生かした。

 JVCケンウッドは、海外事業の拡大に伴い、グループの資金が海外子会社に滞留しているという課題があった。資金を可視化し、余剰資金を設備投資やM&A、有利子負債の返済に活用するという構造改革を目指した。

 子会社が月末の残高を表計算ソフトで報告していたやり方を、キリバのシステムを使った一元管理に変更。取引に使う銀行口座も見直し、360口座から250口座に減らした。

 すると、資金管理やコスト削減で成果があった。導入から3年で、資金の可視化・集約により資金繰りを向上、借入・現預金を圧縮し、結果、支払利息が導入前から半減した。

意思決定を支える“稼ぐ財務”に

 「財務部門はコストセンターではなく、組織の迅速な意思決定を財務的見地でサポートするパートナー。従来の価値観にとらわれることなく、アイデアと工夫で付加価値を生み出す“稼ぐ財務”への変革を目指していただきたいと考えています」と下村氏は力を込める。「目に見える形でコスト削減などの成果が出なくても、グローバル財務管理のガバナンス強化に取り組むことで、将来の損失を防げるかもしれません。そこを私たちがお手伝いします」

 詳細な機能と効果については、以下のページを参照してほしい。キリバ・ジャパンはグローバル市場で飛躍を目指す日本企業の財務部門の挑戦を支えていく。



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