ウクライナのヴィクトリアさん – 47NEWS



将棋を指すウクライナの子どもたち 将棋を指すウクライナの子どもたち

 2015年のヨーロッパ選手権プラハ(チェコ)の会場で、民族衣装を着た、かわいい子どもたちが楽しそうに将棋を指していました。選手権の初日は国対抗でチーム戦を行うのが通例となっていて、生徒たちを連れて参加していたのがヴィクトリア・リャスニャンスカさん。私はその時まで面識がなかったのですが、既に初段に近い腕前でその大会のベストウーマン賞として表彰されました。ウクライナの国旗を誇らしげに掲げている姿が、とても記憶に残っています。

 翌2016年。リコー杯女流王座戦の海外選抜大会がインターネット対局場〝81Dojo〟で開催され、ヴィクトリアさんが勝ち上がりました。リコー杯は創設時から海外招待選手枠が設けられており、現在では選抜大会を勝ち抜いた1人が女流棋士プロ公式戦の出場権を獲得、日本に招待されます。カロリーナ(現女流1級)の活躍で世界的ニュースにもなり、海外で将棋を教えていると「リコー杯で日本に行くのが夢」という言葉をよく耳にします。女性プレーヤーとその指導者にとって、リコー杯は憧れの棋戦なのです。

 この年はウクライナ将棋連盟の代表であるご主人のボリス・バイデンコさんと共に、日本へ招待されました。陽気で話し好きなボリスさんと、物静かなヴィクトリアさん。5日間の滞在中は将棋会館でプロ棋士の対局を見学し、将棋大会への参加や東京観光など、さまざまな体験をしていただきました。そして、今年の海外選抜大会は10カ国17人が参加。年々、レベルが上がっていて、各所で熱戦が繰り広げられましたが、優勝はまたもやヴィクトリアさんでした。

 2度目の来日となる今回は、将棋会館道場での対局や、美術館巡りをしました。ヴィクトリアさんは家族皆さんが画家で、生まれてすぐに絵を描き始めたとのこと。昨年は言葉がなかなか通じなくて緊張がほぐれなかったのですが、今回は一緒に絵を眺め、彼女のリクエストでお刺身を注文し、わさびをなめてニッコリ。ようやく、なじんでくれたなあと思う瞬間でした。

 外国で将棋を教えるだけではなく、こうして海外の将棋プレーヤーに日本の文化や将棋界を体験してもらうのはとても大事なこと。その機会を与えてくださったスポンサーのリコー様に心から感謝しています。対局では残念ながら負けてしまいましたが、ヴィクトリアさんの経験は必ずやウクライナ、そしてヨーロッパの皆さんに伝わるはずです。

 今年のヨーロッパ選手権はウクライナのキエフで、8月3日から6日に開催されます。私はもちろん行く予定!彼女の国で再会するのがとても楽しみです。(北尾まどか)

2017年05月25日




こんな記事もよく読まれています



コメントを残す