ピース写真、指紋流出恐れ SNSへの投稿、注意を – 中日新聞



30センチの距離からスマートフォンで撮影した越前教授の写真。顔近くの指にも焦点が合いやすい

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 何げなく撮影したピースサインの写真。インターネット上に公開すると、その写真から、指紋を読み取られるリスクがあることをご存じだろうか。本人かどうかを判定する指紋認証は、マンションのオートロック解除やスマートフォンのログインなど日常生活で広く普及しているだけに、なりすましによる悪用が懸念されている。写真撮影や会員制交流サイト(SNS)への投稿には注意が必要だ。
 問題を提起した国立情報学研究所(東京)の越前功教授(46)によると、指紋の情報を他人が読み取るには従来は、指に接近して撮影するか、事件の鑑識活動のように、コップなどに残された指紋から入手する以外はできなかった。
 ところが、ドイツのハッカーが三年前、記者会見で撮影された国防相の写真を基に、親指の指紋情報を得たと発表。真偽は定かでないが、世界に大きな波紋を広げた。
 性能が大幅に向上し、解像度や画素数が上がって画像がきめ細かくなったデジタルカメラ。離れて撮影した写真から、指紋を読み取ることは可能なのか。越前教授らも実験した。
 デジタルカメラから三メートル離れてピースした姿を撮影。写真を拡大しただけでは指紋は鮮明に見えないが、パソコンの画像処理で指紋の凸凹を白黒にして再現すると、その情報は指紋認証で「本人」と判断された。さらに市販のスタンプ作成機で指紋の情報を取り込んだ“偽の指”を作成。指紋読み取り機に当てると、やはり「本人」と認証された。
 偽の指を使って指紋認証をくぐり抜け、不法入国する事件は十年近く前から国内でも発生している。写真から指紋を再現する技術があれば、なりすましは可能ということになる。
 「自撮り写真は特に危険」と越前教授は話す。顔から近い距離で撮影するため、ピースサインの指は自然と顔に近づく。すると、顔だけでなく指紋にも焦点が合い、再現がしやすくなるという。一方、指紋認証の機能があるスマホは普及が進み、年内に全体の五割を超えるとの予測も。指紋認証の利用は急速に増している。

画像処理で再現した指紋情報(左)。指紋センサーで読み取った指紋情報(右)と特徴点が一致した

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 元小学校教員でITジャーナリストの高橋暁子さんは「SNSに写真を投稿していると、氏名や生年月日に指紋情報が結び付いた形で流出する恐れがある」と指摘する。自己防衛策としては、手や指がアップで写った写真の投稿は避け、写真の画質を下げておく。写真から住所が割り出される危険もあり、待ち伏せされるなどの被害も出ているという。「携帯電話の位置情報はオフに。窓の外の建物など住所が分かる情報が写り込んでいないか確認を」とアドバイスしている。
 一部の現金自動預払機(ATM)では指先や手のひらの静脈のパターンで本人確認するなど、生体認証システムは日々進化している。高橋さんは「今後はパスワードと組み合わせた二重の認証が主流になるのでは」と推測する。

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 越前教授は写真からの指紋読み取りを阻止する方法として、アクリル絵の具を使い、指紋に似た模様を指先に貼り付ける技術を開発。指紋認証では「本人」と認識するが、写真から指紋の情報が読み取られることはなく、二年後の実用化を目指す。
 認証に使われる目の虹彩(焦げ茶の部分)の情報も夜間モードで撮影した写真から読み取れる可能性があるという。「生体認証に使われる情報は一生変えられないため、流出した際の被害は大きい」と越前教授。高橋さんは「対策が追いついていない今は生体情報が漏れないように努力するしかない」といい、SNSに投稿した写真の公開先を知人に限定することなどを提案している。
 (小中寿美)

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