新・OS X ハッキング! 第201回 High Sierra日記(1):Terminalから「HEIF」を眺める



新メディアフォーマット「HEIF」

予定どおりリリースされた「macOS High Sierra」。Leopardの次がSnow Leopardという過去があるだけに、お笑い用語でいうところの”天丼”があるとは……6月からわかっていたことだが、記事中で「Sierra」と「High Sierra」を明確に区別するのはなかなか難しい。ただでさえApple製ソフトウェアは言及しにくい — メールとか写真とかカレンダーといった”直訳調”は一般用語と書き分けにくい — のだから、せめてOSのコードネームは識別しやすいものにしてほしいのだが。

いきなりボヤきから入ってしまい恐縮だが、それでもHigh Sierraには見るべき新機能/変更点が少なくない。特に新メディアコーデック「HEVC」の本格採用と、静止画フォーマットをも内包しうる「HEIF(ヒーフ)」が登場したことは、ユーザに与える影響の大きさからいっても見逃せないだろう。

2017年10月時点では、HEIFをデフォルトの記録フォーマットとするデジタルカメラ/スマートフォンはiPhone(iOS)くらいなものだが、iPhoneを併用するユーザが多いmacOSのこと、「写真」や「イメージキャプチャ」などのアプリに取り込めればいいというだけの話ではない。単独のファイルとしてどのように存在しているか、Terminalからどう見えるか、JPEGなど他フォーマットへの変換はどうするか、といったことも重要なのだ。

USB経由で取り込んだHEIF/HEICファイルを「写真」で表示したところ。表示されるメタ情報はJPEGと同じだ

ファイルとしての「HEIF」

iOSからmacOSに取り込んだHEIF(静止画)は、拡張子「HEIC」のファイルとして保存される。「写真」アプリはピクチャフォルダの写真ライブラリの奥深くに保存する仕様のため、実験用にHEIFを扱いたいときは読み込み先を指定できる「イメージキャプチャ」を利用したほうがいいだろう。

macOSに書き出したHEIFは、Finderに関していうかぎり、扱いはJPEGと大差ない。QuickLookで内容を確認できるし、「プレビュー」アプリで開くこともできる。ただし、編集には対応していないため、マークアップツールを使うときは事前に他のフォーマットへ変換しておかなければならない。

Terminalでも、その扱いは通常の(プレーンな)ファイルと同じだ。Macgicナンバーが未定義なのか、fileコマンドでは「ISO Media」と認識されてしまうが、mdlsコマンドを実行すればUTI(Uniform Type Identifier)に「public.heic」が用意されていることがわかるし、EXIFデータの存在はSpotlightのメタデータとしては表示されないことがわかる。

「イメージキャプチャ」を使うと、iOSデバイス上の写真がHEIF/HEICファイルとして保存されていることがわかる
HEIF/HEICファイルのUTIには「public.heic」が割り当てられている

他のフォーマットに変換する

前述したとおり、静止画データを内包するHEIFファイル(拡張子は「.heic」)は、「写真」や「イメージキャプチャ」でMacに取り込むことができ、「プレビュー」で閲覧できる。Finderではサムネイル表示されるし、QuickLookすることも可能だ。

Terminalの世界ではどうかというと、「sips」コマンドが一部をサポートしている。「-g all」オプションを指定したところ、縦横サイズなどの情報が出力されたため、HEIFファイルの認識は可能なようだ。しかし、「*.heic」の変換および編集には対応しないようで、JPEGなど他フォーマットへの変換やサイズ変更/回転をくわえようとするとエラーになる。

sipsコマンドで確認したところ、縦横サイズなどのメタデータは表示できた
「プレビュー」にHEIF/HEICファイルの編集機能は用意されていない

HEIFファイル(コンテナ)は標準化された技術であり、仕様の詳細は明らかにされている。デコーダのサンプル実装がNokia Technologiesにより公開されていることもあり(リンク)、今後HEIF/HEICをサポートする画像ビューア/編集ソフトは増えることだろう。

実際、HEICファイルをJPEGなど他のフォーマットに変換するソフトはすでにいくつか存在する。「iMazing HEIC Converter」はそのひとつで、macOS版とWindows版を選択可能だ。現在のところ、HEIF/HEICファイルの流通は事実上Apple製品間に留まっているが、このようなツールを使えば不便を感じることは少ないだろう。

もっとも、現状数少ない”HEIF/HEICの供給デバイス”であるiPhone/iPadは、写真を外部へ送り出すときには自動的にJPEG変換しようとする。外部デバイスへHEIF/HEICのまま送り出そうとすると、AirDropやメール添付に比べ面倒な操作が必要とされることからすれば、現状HEIF/HEICを直接編集できるソフトへのニーズはそれほど高くないともいえる(Preview.appのHEIC編集非対応もそう判断してのことだろう)。いずれ増えるだろうが、その時期はもうしばらく先になりそうだ。




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