自動運転がケイレツを打ち壊す?(激震!コネクテッドカー)



 自動車業界には今、自動運転やコネクテッドカーの波が訪れている。このうねりに伴って、通信業界には大きなチャンスがやって来ようとしている。コネクテッドカー産業の到来は何をもたらすのか。今回は、変化に直面する自動車業界の理解を深めるべく、知っておきたい自動車業界の情報を整理する。

産業構造の変化
自動車メーカーと総合部品メーカー、ITベンダーが三つ巴の勢力争い

 自動車業界の産業構造に変化が起こっている(図1)。これまでの自動車業界は、自動車OEMと呼ばれる自動車メーカーを頂点に、Tier1と呼ばれるデンソーや独ロバート・ボッシュ(BOSH)などの総合部品メーカー、Tier2と呼ばれる鋳造やプレス産業、Tier3と呼ばれる金型・素材産業が連なるピラミッド型構造になっていた。自動車メーカーは懇意にするTier1と共同で研究段階から自動車を共同開発し、自動車メーカーごとの系列を形成してきた。

図1●ソフトウエア化と自動運転の進展で自動車業界の産業構造に変化

ITベンダーの役割が大きくなる中、欧州の自動車メーカーを中心に、Tier1ではなくITベンダーと自動運転技術を共同開発する動きが目立つ。背景にはTier1の力が増しており、自動運転技術を握られることを自動車メーカーが脅威に感じている面があるという。

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 だがここに来て、欧州の自動車メーカーが発端となり自動運転システムの前段階と言えるADAS(先進運転支援システム)の開発から「自動車メーカーがTier1との共同開発を止め始めた」(野村総合研究所 グローバル製造業コンサルティング部自動車産業グループの晝間敏慎上級コンサルタント)。例えば独フォルクスワーゲングループの独アウディは、これまでBOSHや独コンチネンタルと共同開発してきたが、ADASでは、米エヌビディアやイスラエルモービルアイといったITベンダーと共同開発を始めた。ADASや自動運転システムに関して、ソフトウエアの重要度が増してきたことに加え、「Tier1の力が増し、自動運転技術を握られることに自動車メーカーが潜在的な脅威を感じている」と晝間上級コンサルタントは語る。

 一方、ADASや自動運転技術をITベンダーと共同開発できる自動車メーカーは業界トップクラスの企業に限られる。BOSHなどのTier1サプライヤーは、トップ以外の自動車メーカーにADASや自動運転技術を提供するべく、エヌビディアなどのITベンダーとの提携を始めた。自動車業界は現在、自動車メーカー、Tier1、ITベンダーが三つ巴で勢力争いしている状況と言える。

ADAS▲
Advanced Driver Assistance System。事故を回避するための自動ブレーキ機能、前方車両と一定間隔を保ったままの追従機能などを指す。




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