Kotlinのパイオニア長澤太郎氏・LINE Fukuoka吉田清亮氏が語る、Kotlinの運用とこれから – ガジェット通信

「不安よりワクワク感が勝った」Kotlin導入のキッカケ

吉田(LINE):今年はいよいよGoogleの正式サポートが発表されましたね。今年のGoogle I/Oは、太郎さんはかなり注視していたんじゃないですか?

長澤(エムスリー):毎年来るか、来るかとドキドキしていたので、正直「今年も来ないだろ、もういいよ……」という気持ちで見ていました(笑)。

エムスリー株式会社 長澤 太郎氏

長澤:LINEさんがKotlinを導入しはじめたのはいつ頃なんですか?

吉田:2016年の秋頃からです。僕はLINE FukuokaでLINE Creators Studioというアプリ開発に携わっているのですが、その開発を始める段階でKotlinを採用しました。

開発チームが立ち上がったときは3人で、みんな初学者でしたが特に異論なく採用されました。Kotlin導入の決定自体はすごくスムーズでしたね。

LINE Fukuoka株式会社 開発室 吉田 清亮氏

⇒参考:LINE Creators Studio開発に使われるKotlinのご紹介

長澤:Google I/Oの発表以前からなんですね。導入にあたって不安要素はなかったんですか?

吉田正直、ほとんどなかったですね。Kotlin1.0のリリースから間が空いてようやくKotlin1.1がリリースされるタイミングだったので、ある程度の安心感もありましたし、ネックだったDaggerのうまく動かない問題もちょうど解決された頃ですんなり導入できたので、やってみようと。

チームとしても会社としても、導入への不安より「使ってみようよ」というワクワク感が勝っていました(笑)。太郎さんの活動のおかげで心的障壁が低くなっていたのもあると思います。太郎さんの会社は、やはりKotlinの導入は早かったんですか?

長澤:僕がKotlinを触り始めたのは4、5年前ですが、会社の開発への導入は2年前でした。Java製のAndroidアプリのリニューアルをしていて、そのときに僕の活動を知っていた上司に背中を押してもらったのがキッカケです。

それでも当時は、導入するのは早いんじゃないかと不安がありましたね。なので、Google I/Oでサポートが発表されて本当に嬉しかったです。

吉田選択したことの正しさが証明された、という気持ちになりますよね。一安心しました。

初学者だけの環境でクオリティを上げていくために

長澤:とはいえ、全員が初学者の状態で開発を進めていくのは大変じゃなかったですか?コーディングスタイルの統一やコードのクオリティの担保などどうやって進めてました?

吉田:僕らのチームは日本語より英語の方が得意というメンバーが多いので、みんなで英語のチュートリアルやドキュメントを見て勉強を始めました

当初はやはりapply、letの扱いとか、変数itの宣言とか、多少混乱がありましたね。当時も今もコードレビューをベースに、実装ごとにつど良い方法を話し合うようにしています。

長澤:KotlinはJavaと比べると自由な部分が多いので、戸惑う部分もありますよね。僕も今は2人で開発しているので、コードレビューがベースになっています。

吉田:僕のチームの開発ではJetBrains公式ライブラリのankoを採用しているのですが、コーディングスタイルやKotlinの作法などはソースコードを読んでいくのがかなり勉強になりました。

最近はGoogle、JetBrainsからもコーディングスタイルの指針が発表されましたし、それに基づいて社内のコーディングスタイルの作成を進めています。

Kotlinならではの機能を楽しんで学習する

長澤:新たに入ってくるKotlin初学者のエンジニアたちは、コーディングスタイルとコードレビューをもとに教育していくという形でしょうか。

吉田:それに加えてオリエンテーションなどでサポートするようにしています。ただKotlinはStreamに似ているSequenceなど、理解が難しい上になかなか使わない機能などもあって、初心者にどこまで教えるか悩みどころなんですよね。

長澤:僕も初心者向けのハンズオン講師などを務めますが、学習コストが高すぎる機能は割り切って最初は教えないようにしています。とりあえずKotlinならではの機能を一通り触って楽しんでもらえれば。

自著で恐縮ですが「Kotlinスタートブック」(通称・赤べこ本)はKotlinの基本をさらうようにチュートリアルが組み込まれていて、最初の一冊としてオススメできます。

Kotlinスタートブック / 長澤太郎 著 (リックテレコム)

吉田:いいですね。ちなみに今日僕も太郎さんの訳書を持ってきていて……後ほどサインもらってもいいですか!

最新情報は英語リソースから直接キャッチアップ

長澤:Spring Framework 5.0が登場し、よりKotlinフレンドリなフレームワークになりましたね。

吉田:LINEのアプリケーションはSpring Bootを採用しているものも多いんですけど、今度出るSpring Boot 2.0はSpring Framework 5.0をサポートしているのでサーバサイドKotlinも問題なく導入していけそうだなと思っているんですよね。

長澤:そうですね、Springを使った開発をしていれば、サーバサイドもJavaとKotlinの相互運用をそれほど意識せずに開発できるようになりましたね。

長澤:LINEさんでは新しいフレームワークやライブラリの導入は結構自由なんですか?

吉田:話し合って総意が取れれば自由に導入しています。ただし学習コストがかかりすぎる場合は要検討ですが……。新しい技術情報は、海外の一次情報を当たったり、カンファレンスに参加して得るようにしています。

今年もメンバーの1人がサンフランシスコで開催された「KotlinConf 2017」に参加してきました。LINEの制度で、エンジニアは年に1回海外のカンファレンスに自由に参加できるんですよ。

長澤:ええ、それはすごいですね!DroidKaigiのスポンサーにもついていましたし、会社が推してくれる体制なのはいいですね。

全国で高まるKotlin熱

長澤:そういえば、「Fukuoka.kt #1」の開催会場もLINE Fukuokaさんでしたね。

吉田:そうですね。主催というわけではないんですが、僕は福岡でもっとKotlin界隈が盛り上がってほしいなと思っているので協力してもらいました。

第1回はかなり盛況でしたしもうすぐ第2回を開催したいなと思っていて、ゲストにはぜひ太郎さんに来てほしいなと目論んでます。

長澤:おお、本当ですか。いろいろな場所でKotlin界隈盛り上がってきていて嬉しいです。

吉田:Kotlinが出始めた当初よりは知名度も開発者人口もだいぶ増えてきて、Advent Calendarのランキングなんかもすごく人気でしたね。

長澤:2012年の時は、全然流行っていなかったので一人でKotlin Advent Calendar書いていたんですよ。それが年を追うごとに書いてくれる人が増え、今年のカレンダーは僕が作ったのに枠を取る前に埋まってしまいました(笑)。

かつては一人で完走したKotlin Advent Calendar 2012(全部俺)

開発領域がますます広がるKotlin

吉田:これからAndroidアプリ開発を始めるというときに、もはやKotlinを選ばない理由がないですよね。

長澤:Androidアプリ開発としてのKotlinはもう定着してきていますよね。KotlinConf 2017でも、Androidアプリ開発よりサーバサイド開発に関する話題の方が多かったです。あえてAndroidに触れる必要がないという。

吉田:Kotlin1.2もちょうどリリースされましたしね。LINEの一部アプリでも早速アップデート対応します。Kotlinは言語自体のクオリティコントロールが高くて、バージョンアップも苦労がなくていいですね。

長澤:Kotlin 1.2の目玉機能はJavaScriptとJavaのマルチプラットフォーム対応ですよね。これからのAndroidアプリ開発はもちろん、Webフロントエンドも、ひいてはバックエンドも、Kotlinが食うぞ!……という妄想をしています(笑)。

吉田:Kotlin Nativeもありますし、今C言語で書いているようなもっと低レベルの部分もKotlinで書けたらいいな、と僕も妄想しています。Kotlinでの開発がより盛り上がっていくことに期待ですね。

── 対談、ありがとうございました。ますます研鑽されていくKotlinの今後に期待です!

【対談者プロフィール】

LINE Fukuoka株式会社 開発室 吉田 清亮(よしだ・せいすけ)氏
フリーランスとしてRuby on RailsやJavaのサーバーサイド開発や、Androidアプリケーション開発を行ったのち、2014年にLINE Fukuokaに入社。Androidやサーバーサイド開発を行い、現在はKotlinでのAndroid開発に携わる。

エムスリー株式会社 長澤 太郎(ながさわ・たろう)氏
メーカー系SIerを経て、2013年10月にエムスリー株式会社に入社。医療情報プラットフォーム「m3.com」、医薬品情報サービスの「MR君」のAndroidアプリの開発を担当。「MR君」はKotlinを使用している。日本Kotlinユーザグループ代表、日本Javaユーザグループ幹事。著書に「Kotlin スタートブック」「Kotlin Webアプリケーション」。

●著者プロフィール

dotstudio ちゃんとく
大学までは文系で法学を学んでいたが「モノを作れる人」に憧れて知識ゼロからエンジニアに転身。本業ではPHPでWebサーバサイド開発を担う傍ら、テクニカルライターとしてdotstudioに参加している。Node.jsユーザグループ内の女性コミュニティ「Node Girls」を主催。趣味の電子工作では日本最大のIoTコミュニティ「IoTLT」で体当たり電子工作を発表中。
Twitter: @tokutoku393 / dotstudio, inc.

AIのパイオニア、Andrew NgのLanding.aiは製造業の改革を目指す――最初のパートナーはFoxconn – TechCrunch Japan


人工知能のパイオニア、Andrew NgはGoogle BrainプロジェクトやBaiduのAIグループのリーダーを務めたことなどでよく知られている。Ngはオンライン学習のCourseraの共同ファウンダーであり、そこで教えている機械学習のコースも有名だ。今年初めにBaiduを離れた後、Ngが何をしているのか(もちろんCourseraで多くのコースを教える以外にということだが)はっきりしなかった。

しかし今日(米国時間12/14)、NgはLanding.aiという新しいスタートアップを立ち上げたことを発表した。この会社は人工知能テクノロジーの成果を製造業に導入するのが目的だ。Landing.aiの最初の戦略的パートナーはFoxconnで、Ngによれば、さる7月から共同研究を続けてきたという。

Landing.aiの狙いはAIテクノロジーを従来のIT産業の外に広めることだ。AIと機械学習はすでに数多くの大手インターネット企業のビジネスのやりかたを根本的に変えているのに、IT以外の産業では遅れを取っているとNgは主張する。声明でNgはこう書いている。

 AIを活用したIT産業を作るだけでは十分ではない。AIを活用した社会を作らねばならない。われわれの生活が物理的に必要とする要素、食べ物、ヘルスケア、交通、住居などはAIのおかげて改良され、アクセスも容易になった。人は単調な機械的な仕事の繰り返しから解放された。今や社会のすべての面でAIによる便益が体験されるべきだ。これはIT産業だけではなくすべての産業を巻き込む必要がある。

ではLanding.aiは具体的にどういうものなのか? Ngによれば、同社は各種の「AIによる企業の変容プログラム」を作っているという。これにはAIテクノロジーそのものの導入から従業員の訓練まで多様な要素が含まれる。

Landing.aiの最初のターゲットは製造業だが、Ngはこの分野だけでなく、社会を構成するあらゆる側面にAIを導入するプラットフォームとなることを計画している。

Foxconnに関して、Ngは「(Landing.aiは)AIテクノロジーの開発だけでなく、人材育成、また両社の基本的な特色をさらに強化するためのシステムづくりについても(Foxcon)と協力関係にある」と述べた。

全体としていささか漠然としている。また私にはLanding.aiはなにか新しいテクノロジーを開発する会社というよりある種のコンサルティング会社のように思える。Landing.aiが独自の新しい人工知能テクノロジー、ないしプラットフォームを開発するというより、少なくとも今日の声明から推測されるところでは、既存の人工知能テクノロジーをFoxconnのような巨大企業に効果的に導入することに目的があるようだ。

画像:: Luis Castaneda Inc./Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

【ロボットパイオニアフォーラム011】ロボット業界「年末のライトニングトーク大会」開催レポート! #robopf – ロボスタ

2017年12月6日、GMOインターネットグループのシナジーカフェ「GMO Yours」にて開催された11回目の「ロボットパイオニアフォーラム」の様子をお届けします。ロボットパイオニアフォーラムは「ロボットを愛する、ロボットビジネスを信じる人の集い。立場を忘れてロボットビジネスのためにオープンに語り合うこと」を目的として開催されています。

ライトニングトーク大会

2017年のロボット業界の総括として「10名によるライトニングトーク」をテーマに開催されました。その様子をまとめてご紹介していきます。

HoloEyes株式会社代表取締役 谷口直嗣氏



トップバッターとして登壇した谷口さんからは、先日の国際ロボット展でデンソーブースにて展示が行われた「ロボジオラマ」の開発工程の紹介。以前紹介した「COBOTTAハッカソン」にて最優秀賞を受賞した作品です。小型軽量のロボットアーム「COBOTTA」を活用して、自作プラモデルをかっこよく撮影できるというもので、AR技術を使うことでビームを投影したりしながらより迫力ある映像をリアルタイムに見ることもできるなど、趣向を凝らした作品となっています。

Forex Robotics 株式会社 代表取締役 高橋一行氏



続いて登壇したForex Roboticsの高橋さんからは、同社が開発したスマートスピーカ漫談の紹介。ロボットのアプリ開発で培ってきたシナリオ作成の技術を生かして、思わず笑顔になる漫談が披露され、会場は大きな笑いに包まれました。

フューブライト・コミュニケーションズ株式会社 近藤幸一氏


フューブライト・コミュニケーションズの近藤さんからは、同社が同志社女子大学と共に行なっている「Wanderful Aging Project – 問いふるインテリジェンス-」が紹介されました。このプロジェクトでは、大学生と高齢者が一緒にPepperの開発を行い、世代間のコミュニケーションをとると共に、高齢世代のロボットの有効な活用法を考えています。

ロボスタ 編集長 望月 亮輔氏



ロボスタの編集長である望月からは、ロボスタのPV数から見る人気ロボットランキングと題して、今年発売されたロボットのPVベースの人気ランキングを発表しました。センシティブな話題のため「SNSはNG」ということに。

GROOVE X株式会社 笹野太郎氏



GROOVE Xの笹野さんからは、同社が開発するロボット「LOVOT(ラボット)」や、先日発表された累計80億円にものぼる資金調達について。イーロン・マスク氏の会社 SPACE X社の社屋前に掲載中の広告についての言及もありました。

ソフトバンクロボティクス 内田伸穂氏



ソフトバンクロボティクスの内田さんからは、Pepperのビジネス活用について。ソフトバンクロボティクスの社員の方によるロボットパイオニアフォーラムでの登壇は、意外なことに今回の内田さんが初めてだったようです。

株式会社アールティ 木村一也氏



アールティの木村さんからは、同社が進める教育事業について。アールティは秋葉原にセミナースペースを借りており、そこでロボットを実際に動かしながらのワークショップなどができるようになっています。

株式会社 Nextreamer 澤田直樹氏



対話AIを開発するNextreamerの澤田さんからは、ディープラーニングを使って「うまい棒」と「都こんぶ」を仕分けるロボットアームの紹介。CEATEC 2017で展示を行うと、いくつかのメディアにも取り上げられるなどの反響があったそうです。

日本テレビ放送網株式会社 西口昇吾氏



某大学の有名ロボット研究室を卒業した西口さん。大学ではアンドロイド「ERICA」の研究をおこなっており、大学の卒業と共に別れたはずの「ERICA」。しかし、なんと入社した日テレが「ERICA」を導入したことで、卒業後、就職してからもERICAに携わることに。
ロボットに話しかけた時、音声認識ができないと、ついロボット側から「すみません、わかりませんでした」のような回答をしてしまいます。しかし「なんて言ってるか聞き取れません」など、人間側がロボットに合わせるように体験を変えていく必要がある、と西口さん。興味深いお話でした。

ロボットパートナー 太田智美氏



Pepperと共に生活するなど、ロボットパートナーとして活躍する太田さんは、世界各国の様々なテレビ局から取材を受けています。今回のLTでは、その数十にものぼる過去の取材のデータから、どんな国が取材にくるか、どんな質問をされるかなどの情報がまとめて伝えられました。日本のテレビ局よりも海外のテレビ局の方が先にたくさん取材に来ていたというのは、面白いデータでした。

懇親会の様子

ライトニングトーク大会終了後、懇親会へ。ロボット業界のコアな方々が名刺交換。ここで新たなビジネスが生まれることを願っています!


登壇者の皆様、参加者の皆様、お疲れ様でした! また来年もロボット業界盛り上げていきましょう!