これからのテレビは「Googleの逆を行け」!?(日経トレンディネット)

「これからのテレビの可能性について、どう思いますか?」

 先月、関西大学で開かれた第37回「地方の時代」映像祭。その中のシンポジウムに現役のテレビ制作者4人が呼ばれた。その一人として登壇した私は、事前に主催者から提示された冒頭の問いにどう答えたらいいか、考えあぐねていた。そもそもこの問い自体が、ネットの勢いに押されるテレビの現状を表しているようにも感じられた。

 今、世の中には“情報”があふれている。気になること、知りたいことがあれば、誰もがスマホ片手にネットで調べ、即座にそれなりの“答え”を得られるようにもなった。そんな時代にテレビが持つ可能性とは一体、何なのだろうか。

 実際、テレビ制作の現場でも、会議や打ち合わせ中に誰かが発言した内容について分からないことがあったら、その場でネット検索し、「あ~、なるほど、そういうことね」と納得する人の姿を見かける。目の前に「よく知る人物」がいても、その人に詳しく尋ねるより、とりあえずネット検索する。そして、検索結果の上位に示された項目や画像、Wikipediaなどの短い説明を読んで、ひとまず分かった気持ちになる。そうした光景は珍しくない。

 インターネットなどのデジタル化されたデータベースにアクセスし、検索すれば一定の情報を得られる便利な現代社会。この“検索”という機能は、人類史上かつてない、きわめて重要なテクノロジーの一つといえるだろう。

 はるか昔、古代ギリシャや古代エジプトの時代にも図書館は存在し、そこには一人の人間が一生かかっても読みきれないほどの情報が蓄積されていた。だが、何万冊、何十万冊という本の中から関係する項目を調べるのはきわめて困難だった。紙などに残されたアナログ情報は、増えれば増えるほど情報を引き出すのに膨大な労力がかかるのだ。また、図書館などで情報を得られるのは、ごく一部の人々に限られていた。

 だが、アナログからデジタルへ切り替わり、加速度的に情報量が増えても、手間をかけずに瞬時に欲しい情報を引き出すことができるようになった。情報量は増える一方なのに、情報を調べる手間や労力はほとんど変わらない。それは、紛れもなくデジタル化によって検索機能が桁外れに向上したお陰だ。世界中のあらゆる人が、いつでも好きな情報を得られるようになった。

 もはや現代人は検索なしには生きられない。初めて訪れる街、おいしそうなお店、夕飯の献立など、ありとあらゆる情報を検索から得ている。“情報化社会”といわれる現代は、“検索社会”ともいえるのだ。

 しかし、当然のことながら、世の中にあふれる情報は、検索によって得られるものばかりではない。Googleなどの検索エンジンに引っかからない情報は、実際には無数に存在するのだ。ネット検索だけに依存すると、そうした“予想もしない情報”に出会う機会は失われる。以前、ラジオ番組でジャーナリストの神保哲生さんがこんな発言をしていた。

 「NHKは、Googleの逆を行け」

英国で日本文化イベント コスプレとラーメンが大人気(日経トレンディネット)

 毎年恒例の英国最大の日本文化イベント「ハイパージャパン クリスマスマーケット」が、2017年11月24~26日の3日間にわたり、ロンドンで開催された。

【関連画像】ラーメン・エクスペリエンスに参加したカップル

 2010年にスタートしたハイパージャパンは日本食や日本の伝統文化をはじめ、音楽、ファッション、ゲーム、漫画やアニメ、コスプレまでを網羅し、日本のカルチャーに特化したイベントとしては来場者数・出展数ともに英国最多。毎年夏と冬の2回にわたって開催されるが、今夏開催されたイベントでは、およそ8万人が来場、約300の企業・団体・個人が出展したという。

 すっかりロンドンの恒例イベントになった感があるハイパージャパン。その様子をレポートする。

 会場になったのは、ロンドン東部のタバコ・ドック。ヴィクトリア朝時代に輸入タバコを貯蔵していた倉庫を改築してイベント会場になった場所で、グレードⅠ建築物(第1級指定建造物)に指定されている歴史ある建物だ。会場内は、カルチャー、ファッション& Kawaii、ゲーム&アニメ、フード&ドリンクの4つのエリアに分かれており、それに加えて、ライブ演奏やパフォ―マンスが行われるハイパーライブ・ステージ、武芸などのデモンストレーションが行われるJ-カルチャー・ショーケース・ステージ、ワークショップが行われるハイパー・クリエイティブ・スタジオなどがある。

ラーメンの試食が開催前に完売!?

 今回のハイライトのひとつが、初登場企画の「ラーメン・エクスペリエンスRamen Experience」だ。塩、しょうゆ、みそ、豚骨の4種類のスープを試食し、その中から自分が気に入った味を選ぶと、チョイスしたスープを使ったラーメンが食べられるというもの。ラーメンを食べたことがない人も気軽に体験できる内容で、ロンドンでのラーメンブームがいまも根強いことがうかがえる。

 担当者によると、3000食のラーメンを用意したものの、イベントが初日を迎える前に、5ポンド(約760円)のチケットがすべて完売になる人気ぶりだったという。また、当初は豚骨スープが一番人気と予想して豚骨を最も多く用意していたものの、イベントが始まってみると意外にも塩味が人気で、急きょ塩味のスープを追加するという意外な展開になったという。

 ラーメン・エクスペリエンスに参加した人々に聞いてみたところ、「おいしかった」「ラーメン大好き」「スープの説明をもっと聞きたかった」などの声が挙がっていた。今回の大成功に続き、次回のハイパージャパンでも開催される可能性は高いので、さらにパワーアップしたラーメン・エクスペリエンスに期待したい。

 同じく、ハイパージャパン初の試みになったのが、「イルミナイトIlluminight」。これは日本の祭りを彩る明かりをテーマにしたアート・インスタレーション。山口県柳井市の金魚ちょうちん祭りに登場する金魚のちょうちんをはじめ、江戸風鈴やランタン、こけしなど、伝統的な日本の祭りを彷彿(ほうふつ)とさせるオブジェが並び、光と影が織り成す幻想的なイメージが来場者たちを楽しませていた。日本人には当たり前のように映る祭りの風景だが、英国人には新鮮で、かなりの反響を呼んでいた模様。

 また、真島ヒロ原作の『FAIRY TAIL(フェアリーテイル)』のアート・エキシビションも開催。大日本印刷の主催で今年10月にニューヨークのコミック・コンに出展したエキシビションが、ハイパージャパンにも登場した。50点の原画が展示されたほか、漫画本や関連商品の即売、お気に入りのキャラクターと一緒に記念撮影できるフォトスポットがあった。

【関連記事】

映画『オリエント急行殺人事件』、結末知ってて楽しめる?(日経トレンディネット)

列車内で起きた殺人事件にポアロが挑む物語は同じ

 映画はエルサレム、嘆きの壁の前から幕を開ける。教会の遺物が盗まれる事件に対し、名探偵のエルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)が鮮やかな推理で犯人を突き止めて見せる。その後、イスタンブールで休暇を取ろうとしたポアロだが、英国での事件解決を頼まれ、急きょオリエント急行に乗車することに。

 この日、ポアロと一緒にオリエント急行に乗り合わせたのは、国籍も身分も職業もさまざまな人たちだ。その中の一人で米国人富豪のラチェット(ジョニー・デップ)がポアロに話しかけてくる。どうやら彼は脅迫を受けているらしく、ポアロに身辺警護を頼んできたのだが、その要請をポアロはあっさりと断ってしまう。

 事件が起きたのはその日の深夜。オリエント急行は雪崩のために脱線事故を起こし、山腹の高架橋で立ち往生。そんななか、車内ではラチェットが12カ所も刺され、死体で発見される。乗り合わせていた医師のアーバスノット(レスリー・オドムJr.)は、死亡時刻を深夜の0時から2時の間だと断定する。

 友人で、鉄道会社の重役であるブーク(トム・ベイトマン)から捜査を頼まれたポアロは、乗客一人ひとりから聞き取り調査を開始する。容疑者は殺されたラチェット以外の乗客全員。アリバイや証拠が複雑に絡み合うなか、はたしてポアロはその真相にたどり着くことができるのか?

【関連記事】

新海誠展も台北で開催 アミューズが狙う中国市場(日経トレンディネット)

 大手芸能事務所のアミューズが、アジア事業を強化している。現地でのアーティストマネジメントのほか、日本のアーティストのライブ制作や展覧会事業まで広く手掛ける。2017年12月22日からは台湾の台北市で、東京でも開催されている「新海誠展」を開催する。現地事業を拡大しながら、日本のコンテンツの海外展開を進める同社。アジア戦略を台湾での取り組みから探った。

【関連画像】左から声優の吉野裕行、柿原徹也、浪川大輔。3人の歌に、ファンの歓声に絶え間がなかった台湾ライブ

 ラストの1曲が終わって3人がステージを後にすると、サイリウムを持った多数のファンたちが彼らのオリジナル曲「僕らの描く未来」を歌い始めた。「アンコール」の代わりに日本語の歌声がホールに響く。初めての台湾コンサートに出演した声優、浪川大輔、柿原徹也、吉野裕行の3名を盛り上げようと、現地のファン同士が呼びかけて実施したサプライズ企画だった――。

 2017年9月10日に台湾・台北市のLegacyで開催された「Kiramune Presents Joint Concert “VERSUS” in Taiwan」は、音楽レーベル「Kiramune(キラミューン)」が初めて実施した海外ライブだ。同レーベルは、バンダイナムコホールディングスの子会社であるバンダイビジュアルと、バンダイビジュアルの子会社でアニメソング歌手などを多数抱えるランティス、バンダイビジュアルとサンライズによる共同出資会社であるバンダイナムコライブクリエイティブの3社による共同レーベル。台湾での初ライブは昼夜の公演を合わせて約1200人を集客、日本にもライブビューイングで配信され、約4000人が楽しんだ。

 「特別な海外公演ということではなく、日本ツアーの一環に組み入れるという発想を現場が持ち始めている」。日本のアーティストの台湾公演についてこう話すのは、Kiramuneのライブを台湾で主催した、アミューズの台湾子会社、アミューズ台湾の広沢誠社長だ。アミューズの所属アーティストに限ってみても、日本ツアーの最後に台湾や韓国でのライブを組み込むことが増えてきているという。同社が日本アーティストの公演を開催するのは現在平均して月1本程度。今後も18年1月は「ONE OK ROCK」、2月には「ラブライブ!」、3月には「FLOW×GRANRODEO」、4月には「アイドルマスター」と主催ライブが続く。

 アミューズは海外展開にも積極的なプロダクションの一つだ。米国やフランス、シンガポール、上海などにもグループ会社を抱える。同社のアーティストである、Perfumeやflumpool、ONE OK ROCK、BABYMETAL、FLOWなどは海外でのライブを幾度となく実施してきた。台湾は「最も手軽に行ける地域の一つ」(広沢氏)。アジア展開の拠点の一つとして現地事業も拡大する。

 「アジア事業は大きく3つの柱で展開している」と語るのは、アミューズ執行役員 アジア担当で同社シンガポール法人の宮野治彦社長。「1つは自社のアーティストやコンテンツを収入源とした現地での活動。2つ目は映画、ミュージカルや日本コンテンツの現地展開への出資。3つ目は日本のアーティストの現地でのライブ制作など自社の得意分野を生かした受注作業」だ。

 アジアの中でも特に中国には、コンテンツ業界からの熱い視線が集まる。「出演料の桁が違う」(関係者)ともいわれる巨大市場には、「我々だけじゃなくて、米国やほかの国の目も向いている」と宮野氏。アミューズ台湾の広沢社長も「いいアーティストを育てていけば、中国に仕事のチャンスが広がる可能性が高い」とみる。

 そこでアミューズ台湾は、現地でのアーティストマネジメントにも力を入れる。台湾と中国市場はつながっており、台湾の俳優やアーティストなどは、中国にも活躍の場を広げている。今同社が抱えているのが4組。日本から台湾に渡って活躍している田中千絵(「台湾で活躍、女優・田中千絵 地下鉄内がサイン会場になった日」)。音楽ユニットの慢慢説(マンマンシュオー)。さらに現地の女優リー・イージエとジェニー・リーだ。いずれも中国に行ったり来たりの生活というが、台湾は今後、アーティストの中国進出の足がかりになる可能性がある。広沢社長は「中国市場がこれからもっともっと大きくなってくるのは明白。台湾でもマネージメント力を強化して中国でも活躍できるアーティストを増やしたい」と話す。もちろん日本のアーティストも同様で、台湾で活躍できれば、中国に人気を拡大できる可能性は少なくない。海外で活躍することを目指すアーティストにとって台湾は、第一ステップとして挑戦する価値がある重要な地域の一なのだ。

【関連記事】

大泉洋が北川景子と一線越える映画『探偵はBARにいる3』 すでに評判も上々(日経トレンディネット)

 札幌・ススキノを舞台に、街の表も裏も知り尽くした探偵とその相棒の活躍を描いた、映画『探偵はBARにいる』(2011年)。札幌在住のミステリー作家・東直己の『ススキノ探偵シリーズ』を原作にしたこの映画は、2013年に続編『探偵はBARにいる2 ~ススキノ大交差点~』が公開されたが、それから4年、ついに第3弾『探偵はBARにいる3』が公開。1、2作目より面白いという声も聞こえるなど、すでに評判も上々だ。

【関連画像】毎回、誰がヒロインを演じるのかもこの映画の楽しみの一つ。1作目では小雪、2作目では尾野真千子が演じていたが、今回は北川景子がヒロイン役だ (C) 2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

 本作は、これまでのシリーズ同様、主演は大泉洋と松田龍平。大泉が自称「この街(ススキノ)のプライベートアイ(探偵)」を演じ、松田が北大農学部のグータラ助手で空手道場の師範代、探偵の相棒兼運転手の高田を演じるハードボイルド作品だ。物語は、なじみのクラブでいつも通りのバカ騒ぎをする探偵(大泉洋)のもとに依頼が舞い込むところから幕を開ける。

 依頼主は高田(松田龍平)の後輩の原田(前原滉)という男で、内容は失踪した恋人の麗子(前田敦子)を探してほしいというもの。軽い気持ちで依頼を受けた探偵は、麗子がピュアハートというモデル事務所を装った風俗店でアルバイトしていたことを知る。そんななか、探偵は店のオーナーと名乗る岬マリ(北川景子)と偶然すれ違い、かすかな既視感を覚える。

 探偵と高田は捜索を始めるが、店を嗅ぎ回っていたことがばれ、マリが屈強な男たちを引き連れて登場。無敗を誇っていた高田さえも波留(志尊淳)という青年にボコボコにされてしまう。それでも懲りない探偵は、昔なじみのヤクザの相田(松重豊)や新聞記者の松尾(田口トモロヲ)というおなじみのメンバーから、ピュアハートのバックには札幌経済界で頭角を現している北城グループの社長、北城(リリー・フランキー)という黒幕がいることを聞き出す。マリは北城の愛人だったのだ。


 失踪した麗子を探すという依頼から始まった物語は、マリの登場、さらにマリを愛人にしている北城が絡んでくることによって、次第に複雑になり、大きく展開していく。

【関連記事】

安室奈美恵“人気論争” チャートで検証してみると(日経トレンディネット)

 毎回異なる音楽チャートから最新のヒット曲を紹介する「臼井孝の音楽チャートから見るヒット曲最前線!」。月の前半は総合的なビルボード・ジャパン・チャート、そして月の後半はパッケージや配信のセールス、動画や歌詞の検索数、カラオケや有線リクエストなど個別のヒットチャートから1種類を選択し、ヒット曲を解説します。

【関連画像】安室奈美恵『Finally』(エイベックス)

 今回は、ビルボード・ジャパンのアルバム・チャート(2017年11月13日~11月19日)を取り上げます。

●CDの販売枚数だけで“人気”は決められない

 ビルボード・ジャパンのアルバム・チャートは、CDおよびダウンロードでのセールス枚数と、Look Up(ユーザーがCDをパソコンに取り込んだ際などにオンラインでCD情報を取得した回数)から順位が算出されています。CDの販売枚数だけでなく、楽曲だけを買ったり、取り込んだりというライトユーザーもしっかりリスナーとして数えることで、本当によく聴かれている=人気の作品を把握できるわけです。

 そのなかで2週連続で1位になったのが安室奈美恵のオールタイム・ベスト『Finally』。CDの売り上げだけでもすでに130万枚を突破(以下、CDについてはサウンドスキャン調べ)しており、彼女がとても強いダウンロードでは現段階で未発売ですが、たとえダウンロード販売があったとしても、CDはミリオンセラーになっていたことでしょう。

 2位は西野カナで、安室奈美恵がいない配信部門ではダントツ。ここ数年で開拓したコミカル路線がさらに進んだ、充実した内容が特徴です。10位のちゃんみなは、若者から絶大な支持を得ている女性ラッパーで、シングルのサブスクリプション(定額聴き放題)では、すでにトップ常連です。

 また、ダウンロードが堅調でロングヒットしているのが、back numberや桑田佳祐、三浦大知。さらに配信でのプライスオフ効果や小室哲哉の再評価も加わり、7年前にリリースされたglobeのベストも総合15位まで再浮上しています。

※「-」は20位圏外、週数は総合TOP100に入った週、網掛けは8週以上チャートイン。部門は、CD、DL(ダウンロード)、LU(ルックアップ)の順位を表示。「-」は20位圏外、または未発売

※発売元略号:A=エイベックス、BE=ビーイング、CA=Cana aria、JS=J-Storm、K=キング、PZ=PIZZA OF DEATH、S=ソニー、U=ユニバーサル、V=ビクター

■提供元:ビルボード・ジャパン

Netflix版との違いは 又吉直樹『火花』映画化(日経トレンディネット)

 ご存じの通り、2015年に第153回芥川賞を受賞した『火花』はお笑いコンビ、ピースの又吉直樹が初めて書いた純文学作品だ。漫才の世界に身を投じるも、結果を出せずにくすぶっている青年・徳永と、強い信念を持った先輩芸人・神谷が出会い、現実の壁に阻まれて葛藤しながら歩み続ける姿を描いている。

【関連画像】若手コンビ、スパークスとしてデビューしたものの、まったく芽が出ないお笑い芸人の徳永(菅田将暉)は、営業先の熱海の花火大会で、あほんだらというコンビで漫才を披露していた先輩芸人の神谷(桐谷健太)と出会う (C) 2017「火花」製作委員会

 2016年6月にはNetflixで全10話のドラマとして初映像化され、同サイトで独占配信。このNetflix版は2017年2月26日から連続ドラマとしてNHKでも放映され、NHKが動画配信サービスのオリジナルドラマを扱ったことも話題となった。

 まずはあらすじを紹介する。

●弟子にしてもらう代わりに伝記を書くことになった主人公

 若手コンビ、スパークスとしてデビューしたものの、まったく芽が出ないお笑い芸人の徳永(菅田将暉)は、営業先の熱海の花火大会で、あほんだらというコンビで漫才を披露していた先輩芸人の神谷(桐谷健太)と出会う。その夜、神谷と一緒に飲んだ徳永は、神谷の芸風と人間味に引かれ、「弟子にしてください」と申し出る。了承した神谷は「代わりに俺の伝記を作ってほしい」と頼む。その日から徳永は神谷との日々をノートに記し始める。

 その後、大阪から東京に拠点を移した神谷と、徳永が吉祥寺で再会。2人は毎日のように飲みに出かけては、芸の議論を交わす日々を送るようになる。そんな2人を神谷の同棲相手・真樹(木村文乃)は優しく見守っていた。しかし、時がたつにつれ、徳永と神谷の間に少しずつ意識の違いが生まれ始める。

クライマックスは原作ファンが見ても大正解と思う出来

 仮に、日ごろテレビのバラエティー番組などで目にするのが日の当たるところにいるお笑い芸人だとしたら、この作品が紡ぎ出すのは「いつかは表舞台に」と夢見ながら、日の当たらないジメジメした場所で、日々努力を積み重ねている芸人の姿だ。

 時間があれば相方と公園でネタを合わせ、小さな劇場への出演を懸けてネタ見せと呼ばれるオーディションを受ける。そこにはスパークス同様、ネタ見せで何とかチャンスをつかもうとする若手コンビたちが列をなし、ギリギリまでネタ合わせをする。年を重ねても売れなければ後輩芸人に抜かれていく。

 週に何本ものレギュラー番組を抱え、いつ見てもテレビに出ているような“売れっ子”はひと握りだと感覚的には分かっていても、映像として見せられると身につまされる。『火花』はいわば日陰者に光を当てた、芸人・又吉ならではの物語なのだ。

 芸人とはいえ華やかな話ではないだけに単調な部分があるし、内容も重めだ。しかもミラクルが起きるわけでもなければ、ハッピーエンドとも言いがたい。気分転換に映画を見たいという人にはあまり薦められない。ただ映画の主人公たちと同じように、かつて何かを目指し、そのためにひたむきに努力をした経験がある人なら、切なくも共感できる部分がきっと多いと思う。

 圧巻はクライマックスのスパークスのライブシーンだ。予告編でもちらりと映るこのシーンは、思わず泣けてくる。おそらく原作を読んだ多くの人が、映像化されて大正解と思うに違いない(Netflix版でもすばらしかった)。

【関連記事】

福田流お笑いの原点 漫画原作の実写でヒットを連発(日経トレンディネット)

 今年で8年目を迎えた日経エンタテインメント!誌が選出する「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー2017」。この表彰式が、TREND EXPO TOKYO 2017の会場で行われた。エンタテインメント界で新たなヒット&ムーブメントを生み出したクリエイターに贈られるこの賞を受賞したのは、『勇者ヨシヒコ』シリーズなどで知られる映画監督・演出家の福田雄一氏だ。

【関連画像】「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー2017」の表彰式に登壇した福田雄一監督と橋本環奈さん

 表彰式の冒頭、福田監督作品の映画『銀魂』と『斉木楠雄のΨ難』(公開中)で、ヒロインを務めた女優の橋本環奈さんがゲストプレゼンテーターとして登場。色鮮やかな花柄のワンピースをまとった姿に会場のボルテージも最高潮に。そして福田監督が姿を見せると、橋本さんが笑顔で表彰状を手渡し、日経エンタテインメント!編集長の山本伸夫からは、副賞の東芝ライフスタイルのコードレスクリーナーが贈られた。

 福田監督はまさに今年の顔。『銀魂』は興行収入38億円以上を記録、『斉木楠雄のΨ難』も興行収入15億円を見込む好スタートを切った。難しいとされる漫画原作の実写作品で2つのヒットを生み出したわけだ。加えて、ドラマでは『スーパーサラリーマン左江内氏』、舞台では『ヤングフランケンシュタイン』と『DEATH TRAP/デストラップ』を手掛けるなど、2017年のエンタメ界をまさに席巻した。

 受賞を受けて福田監督は、「ありがとうございます。まず会場がガラガラじゃなくて安心しました。大勢の方にお集まりいただきうれしいです。まあ、ほとんどの方が橋本さんを見にこられたのでしょうけど…」と喜びとともに会場の笑いを誘った。

 福田作品といえばなんといっても「笑い」だ。表彰式の後のトークショーでは、福田監督の笑いに対する考え方が語られた。

 「僕の笑いはよくサブカルだと言われることがあるんですが、自分の中では王道だと思って作っています。ドリフターズなどの王道の笑いに憧れてきたからです。『銀魂』と『斉木楠雄のΨ難』では王道の笑いをうまく取り入れることができて、観ていただいた方にもそれが伝わったと思いますし、それがとてもうれしかったです」

 さらに福田監督は続けて、「王道の笑いがテーマにあるので、セリフやシーンを考えるときは、一部の人しか分からないものではなく、老若男女に伝わるような演出を前提に考えていますね」と語った。

 トークショーの話題は、2作品でヒロインを務めた橋本環奈さんに。キャスティングした理由について聞かれると福田監督は、「まず僕が個人的に好みだったということでしょうか(笑)」と来場者を笑わせた。

 改めてキャスティングに話が戻ると「『銀魂』の登場人物・神楽は、原作から分かる通り2次元にしかいなさそうなキャラクターです。そのとき(僕の中で)偶像としての印象が強かった橋本さんが頭に浮かんだ。それで監督らしく、一度お会いしたいとお願いしました。でもドアから入ってきた瞬間に『お願いします』と即決していました」。

 それを受けて橋本さんは「兄の影響で『勇者ヨシヒコ』が好きだったので、その監督の福田監督から声をかけていただいたときはうれしかったです。個性の強い『銀魂』の神楽を演じることや、多くの役者が参加を望む福田作品に参加することはとても楽しみでした」と話した。

 橋本さんは「福田監督は指示が的確。私自身が笑いを作るのは難しいです。だけど監督が的確に指導してくれるので助かるし、結果的にそれが面白い映像になっている。撮影中はその指示に対して、全てを出し切るつもりで演じました」と撮影を振り返る。

 『銀魂』で話題となったシーンでも、福田監督の指示は的確だったようだ。

 「私が鼻をほじるシーンでは、第一関節は過ぎてください(笑)。さらに口を開けつつ目も開けて白目にしてくださいという指示までいただきました。今思えば、指導が一番厳しかったのはあのシーンでした」と橋本さん。

 福田監督は「あのシーンでは、いかに相手をイラつかせる表情を作るかが大切だった」と話し、OK後には出演者やスタッフからも拍手が起こったというエピソードを披露した。

 「そういうシーンを『銀魂』で乗り越えてくれたからでしょうけど、橋本さんは『斉木楠雄のΨ難』ではすでに大御所の雰囲気が漂っていました(笑)。次はどんな表情が欲しいの? みたいなオーラが出ていて、天下無敵のコメディエンヌになっていました」と福田監督はコメントした。

 コメディ映画は成功が難しいとされる日本映画界、そんな状況に挑戦して結果を出した福田監督――。

 「これはなしという考え方を、これはこれでありという考え方にするだけで、エンタテインメントは広がっていく。今回の賞をいただいたことで、コメディの世界に未来も感じました。これからもコメディを中心に皆さんが楽しめる作品を作りたい」と、福田監督は今後の意気込みを語った。

 トークショー終了の時間が迫ると「ほったらかすとずっとしゃべる人なんでそろそろ…」と橋本さんが場を仕切ると、「ほったらかすとか言うな! ついに素が出たな」と福田監督が応酬。最後まで会場には笑いが響いていた。

(文/片山祐輔)

『HiGH&LOW』が多くの人を虜にした理由とは?(日経トレンディネット)

 2015年にテレビドラマから始まり、公開された映画3作品の累計興行収入が45億円を超えた『HiGH&LOW』シリーズ。加えて、本作と連動する音楽ライブイベントの開催や動画配信サービス、DVDでのスピンオフ作品なども次々と発表するなど、『HiGH&LOW』シリーズは今までの日本エンタテインメント界にはなかった挑戦を続けている。

【関連画像】俳優 小澤雄太氏。1985年生まれ。LDH所属。『劇団EXILE』のメンバー。『HiGH&LOW』には、「達磨一家」の加藤鷲役で出演

 11月11日には、劇場最新作『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』が公開され、さらなる注目を集める『HiGH&LOW』。そのシリーズ全貌を、『HiGH&LOW』に出演する俳優・小澤雄太氏、八木将康氏、脚本・プロデュースを担当する平沼紀久氏が語った。

 小澤氏は「セミナー感がすごいですね」と笑顔で登壇。進行を務める日経エンタテインメント!編集部の羽田健治はこの作品を取り上げた理由を「ただのヒットシリーズものでなく、そこにいろいろな仕掛けを施している。それがどのような経緯で生まれたのかを探りたい」と説明した。

 平沼氏は、「『HiGH&LOW』は八木氏が演じる伊集院甲というキャラクターが作品の発端になった」と明かす。八木氏の所属事務所「LDH」の会長であり、本作の企画を担当するEXILEのリーダー・HIROこと五十嵐広行氏と平沼氏らは雑談のなかで、八木氏に「キレると怖い“カニ男”」というキャラクターを設定。「そういう子はどんな家族と、どんな環境で育ったのか。周りにはどんな人がいたのか…」と語り合ううちに、伊集院という人物に投影され、いつしか『HiGH&LOW』の世界観も構築されて、映像化に至ったのだそうだ。

 『HiGH&LOW』シリーズはスタートからわずか2年ほどで、いくつもの作品を発表。「LDH」にはアーティスト、パフォーマー、俳優と、所属するメンバーのジャンルも多様なだけに、五十嵐氏はエンタメの新しいスタイルに挑戦すべく、皆を総動員し、早いペースでの作品展開を当初から考えていたそうだ。平沼氏もスタート当初、「登場人物も多く、最初は風呂敷を広げるのが大変だった」と当時を振り返る。

 トークショーには、怪獣映画やヒーローものに精通する、エンタメ専門ライターのガイガン山崎氏も参加。「『HiGH&LOW』は、作品の世界観を取り入れたライブも併せた新しい挑戦。特撮はアクションはやるけど、俳優さんがこんなライブやったりはできないですから」と山崎氏が語ると、平沼氏は次のように答えた。

 「今までにないエンターテインメントを作っていきたいという想いがHIROさんの中にはあって。LDHは音楽のアーティストがいて、役者(劇団EXILEなど)もいることが強みだと思うんですね。今度もライブと完成披露試写会を一緒にやるんですが、そういう新しい挑戦をどんどんやろう!って始まった企画でもあるんです」(平沼氏)

 また、山崎氏は、『HiGH&LOW』がヒットした要因として、「LDHファミリーの女性ファンに向けた作品にしていないところ」と分析する

 「映画第1作で、大がかりな本格的アクションシーンがあった。LDHファンの女性に向けた作品ならば、これは必要のないこと」(山崎氏)

 羽田は『HiGH&LOW』好調の理由を、さまざまなタイプの男性が集まり、物語を織りなしているところにあるのではないかと推察する。この作品が登場した2015年の10月期にアニメで『おそ松さん』『刀剣乱舞』という、『HiGH&LOW』同様、男性メインの群像作品が始まっていることを挙げ、これらの作品が女性のニーズに応えたのではないか、と見ている。

 この説明を受け、平沼氏は意外なことを打ち明ける。「制作陣からは女性も見に来やすい作品にしてほしい、とのリクエストがあったものの、一番大切にしたのは『男はこうなんだ!』というメッセージ。悪ガキたちが集まって、好き勝手しているイメージです」。

 「そのイメージが良かった」と山崎氏。「男子がワイワイガヤガヤしているのを女子が見て盛り上がる。男女を巻き込んでブームを起こす一番の理想形になっている」(山崎氏)とも。

 新作の撮影に入るたび平沼氏はキャスト一人ひとりと1時間の面談を実施。そこで出たアイデアなどを作品に生かすようにしているという。まさにLDHが一丸となって作り上げているのが『HiGH&LOW』なのだ。

 「平沼さんを始めスタッフの皆さんが、自分の役をどのように育てていくのかをキャストに任せてくれる」(小澤氏)、「話がどんどん広がり、最初の設定も意外な形で変化している。そこにどう合理性を出すのかも楽しい」(八木氏)など、シリーズものだからそのやりがいを語る場面もあった。

 平沼氏は映画最新作で『HiGH&LOW』の第1世代が終わると語り、第2世代以降をどうするのか、すでに見据えているとコメントした。今後『HiGH&LOW』がどのように展開し、どのように形を変えていくのか期待が膨らむトークショーとなった。

(文/田中あおい)

「いいね!」つくなら何でもアリ? エマ・ワトソンとトム・ハンクス共演映画『ザ・サークル』(日経トレンディネット)

 米国で2013年に発行されてベストセラーとなった、デイヴ・エガーズの小説『ザ・サークル』をエマ・ワトソンとトム・ハンクスの共演で映画化。行き過ぎたSNS社会に警鐘を鳴らす作品が『ザ・サークル』だ。

【関連画像】(C) 2017 IN Splitter, L.P. All Rights Reserved.

 主人公は地元でさえない日々を送っている24歳のメイ(エマ・ワトソン)。ある日彼女は、世界最大のSNS企業、サークル社で働く大学時代の親友アニー(カレン・ギラン)の取り計らいで、この会社の入社試験を受けることになる。

 憧れのサークル社に採用されたメイは、娯楽施設から健康管理まで完備された理想的なオフィス環境に感激。意気揚々と働き始める。しかしある事件をきっかけに、この会社のカリスマ経営者として崇められるイーモン・ベイリー(トム・ハンクス)の目に留まったメイは、サークル社が開発した超小型カメラによる新サービス「シーチェンジ」の実験モデルに抜てきされる。これは至るところに設置された超小型カメラの前で自らの24時間を公開するという内容で、瞬く間に1000万人超のフォロワーを獲得したメイはサークル社のアイドル的な存在になる。

 そしてベイリーの理想である「全人類の透明化」を実現するため、メイはさらなる新サービスの公開実験に臨むが、そこには思わぬ悲劇が待ち受けていた。

誰もが“ターゲット”になり、個人情報がさらされる時代

 映画はメイがカメラの前ですべてをさらし始めてから爆発的な人気者へとなっていくというSNSの“一見華やかな面”を描きながらも、徐々にその陰の面も明らかにしていく。その象徴とも言えるのが、新サービス「ソウルサーチ」を利用した逃亡中の犯人探しのシーンだ(予告編でも見られる)。このシーンには、新サービスが世界中の人々のSNSを利用してさまざまな人を見つけ出せるということを示すために、メイが多くの観衆の前で「20分で逃亡犯を捕まえるわよ!」とプレゼンし、実際に該当の逃亡犯があっという間に捕まるという様子が収められている。

 このシーン自体をどう思うかは別にして、実は似たようなことはすでに日常的に起きているのではないだろうか。例えば、ツイッターに悪ふざけをした写真を投稿したら炎上し、投稿した本人の個人情報が瞬く間に特定されてしまうケースや、無関係なのに何かの事件の当事者にされた人の個人情報がさらされてしまうケースなど。いまや誰もが“ターゲット”になり、個人情報がさらされる危険があるということを、映画を見ると改めて実感させられる。

 また、メイがカメラの前に自分をさらすことでアイドル化していく姿も、「インスタ映え」という言葉に象徴される、見栄えの良い写真をインスタグラムに投稿することでフォロワーを増やそうとしている人が多くいる今の時代を反映しているように思える。

【関連記事】