Cannon Lakeの延期でKaby Lake Refreshを投入 インテル CPUロードマップ

 8月の新製品発表ラッシュを経て9、10月に実際に新製品が投入され、一応一段落した感のあるインテル製品。厳密にはCannon Lake製品の投入がまだではあるが、このあたりで一度ロードマップを更新し、新情報をまとめておきたい。

2016年~2018年のインテルCPUのロードマップ

Kaby Lake Refreshの投入で
Cannon Lakeまで時間稼ぎ

 まずの第8世代Coreシリーズについてだが、まとめると以下の3種類が混在することになる。

  • 10nmプロセスを利用した、モバイル向け(Cannon Lake)
  • 14nm++プロセスを利用した、デスクトップ向け(Coffee Lake)
  • 14nm+プロセスを利用した、モバイル向け(Kaby Lake Refresh)

 通常このロードマップ連載ではデスクトップのみ扱っているので、モバイル向けはあまり細かく紹介していない。いい機会なので、今回細かく触れてみたい。

 まず本来なら10nmプロセスに基づくCannon Lakeのサンプル出荷がそろそろ始まるはずだった。最近は「本来」というがいつの「本来」なのかわからなくなりつつあるのだが、少なくとも昨年の今頃は、まだCannon Lakeが2017年内量産出荷の予定だったことは間違いない。

 ところがこの10nmプロセスが予定より遅れるという見通しが出てきたことで急遽Cannon Lakeまでの中継ぎが必要になった。

 ここで問題になったのは構成である。従来、35W/45W枠の製品については、最大4コアのKaby Lakeを投入していた。たとえばCore i7の場合、7700HQ/7820HQ/78820HK/7820HQ/7920HQの5つがラインナップされているが、いずれも4コア/8スレッド構成になっており、こちらは問題なかった。

 問題はTDPが15W/28WのUシリーズの方である。こちらは動作周波数を下げただけではもちろん追いつかないため、2コア/4スレッドにすることで対応していた。

 ただCore i5グレードはともかく、Core i7グレードではさすがに非力という声が聞こえてきていた。AMDのRyzen Mobileは4コア/8スレッドと想定されており、これが15WのTDP枠でリリースされることが予定されているため、2コア/4スレッドでは勝負にならない。

 もともとCannon Lakeの世代ではモバイル向けの4コア化が規定路線であり、これでRyzen Mobileを迎え撃つ予定だったのが、Cannon Lakeが遅れてしまったことでこの予定が狂ってしまった。

 といっても、手持ちの弾はあまりない。Coffee Lakeは後述の通りおそろしく消費電力が上がるので、モバイル向けには到底使えない。となるとKaby Lakeをどうにかするしかない。結果、4コアのKaby Lakeをそのまま流用する形で新しいUシリーズをラインナップすることになった。これがKaby Lake Refreshである。

 このKaby Lake RefreshはCore i7-8550U/8650UとCore i5-8250U/8350Uの4製品である。

Kaby Lake Refreshは、Core i7-8550U/8650UとCore i5-8250U/8350Uの4製品

 Core i5についても4コア/8スレッド構成になっており、違いは動作周波数と3次キャッシュ容量(8MB vs 6MB)だけなのは、Ryzen 5グレードのRyzen Mobileの性能を上回れるようにという配慮と思われるが、逆にインテルの中でCore i7とCore i5の性能差が縮まってしまうという問題を抱えた。

 おそらくはワンポイントリリーフなので今回はあえて目をつぶった形で、Cannon Lake世代ではこのあたりがまた変わるのではないかと思われる。

 余談だが、Kaby Lake Refreshはパッケージそのものは42×24mmのFCBGA 1356で、これは従来のUシリーズと同じである。したがって、Kaby LakeのHシリーズ(こちらは42×28mmのFCBGA 1440)をそのまま流用したわけではなく、従来のUシリーズ用のパッケージに載せ直した形である。

 またeDRAMを搭載したSKUは存在しないため、Iris Graphics搭載SKUはこの世代ではないことになる。つまりグラフィック性能に関してはむしろ落ちているわけで、それをよしとするほど追い込まれていると見ることもできる。

 また、第7世代のeDRAM未搭載のUシリーズ製品と比較しても、動作周波数が1GHzほど落ちており、シーンによっては従来より性能が下がることも考えられる。

 加えて言うと、なぜかKaby Lake Refreshでは最大ターボ・ブースト周波数が大幅に引き上げられている。この結果として、熱設計そのものは従来の15Wのもので動作するが、電力供給に関してはピーク時に従来より多めの電力を供給する必要があり、これもあって再設計が必要とされるそうだ。





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いよいよ10月17日「Windows 10」秋の大型アップデートで何が変わる?

ズバッと解決! Windows 10探偵団
第330回

10ポイントを徹底紹介

2017年10月16日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 イラスト●てりィS Factory 編集●E島/ASCII

 Windows 10の最新情報を常にウォッチしている探偵・ヤナギヤが、Windows 10にまつわるギモンに答える本連載。

 基本技から裏技・神技、最新ビルドのInsider Previewの情報まで、ドド~ンと紹介します。

Windows 10 Fall Creators Updateで変わる10項目をチェック!

 10月17日から日本を含む全世界で順次、2017年で2度目となるWindows 10の大型アップデート「Windows 10 Fall Creators Update」がリリースされる。今回は、これまでInsider Previewで一足早く導入されてきた、Fall Creators Updateの新機能や改善点、削除された機能などをまとめて紹介する。

※動作確認と画面キャプチャーはWindows 10 Insider Previewで作業しています。

変更ポイント1
Fluent Designがスタートメニューに導入された

 マイクロソフトの新デザインシステム「Fluent Design」は「Build 2017」で発表された。Windows 8ではMetroデザインが採用されたが、タッチに特化したデザインで不評だった。「Fluent Design」はクロスプラットフォームに対応しつつ、インタラクティブに使えるようになっている。もちろん、3Dにも対応する。イメージはマイクロソフトがYouTubeに投稿した動画「Microsoft Fluent Design System」で確認できる。

 まだ本格的に導入されているわけではないが、Fall Creators Updateではまずスタートメニューに導入される。アプリ名にマウスポインタを乗せると強調表示になるのは前と同じだが、ポインタに光がフォーカスされている。そして、ポインタを動かすと、光が当たっている部分も動くのだ。また、細かい部分のみの対応だが、今後はWindows 10のシステムからアプリにまで採用されていくことだろう。

マイクロソフトが提唱する新しいデザイン体系の「Fluent Design」。画面はYouTubeより

スタートメニューの項目にポインタを合わせると、光が当たっているような効果を確認できる

変更ポイント2
Edgeブラウザーの機能が大幅に強化された

 Windows 10の標準ブラウザーであるEdgeの機能が強化された。Chromeなどほかのライバルブラウザーではすでに搭載済みの機能も多いが、できることが増えるのは歓迎だ。

EPUBを表示できるようになった

お気に入りを階層間できるようになった

 EPUBを表示したり検索できるようになったので、電子書籍の閲覧にも利用できる。もちろん、目次は利用できるし、音声読み上げも可能。お気に入りは階層化できるようになったうえ、ブックマークの編集もその場で行えるように。任意のウェブページをタスクバーにピン留めしたり、PDFのフォームには直接入力できるのも便利。F11キーで全画面表示したり、複数のタブをまとめてお気に入りに追加するなど、基本操作もブラッシュアップされている。

URLをその場で編集できるようになった

タスクバーに好みのウェブページをピン留めできるようになった

より多くの設定をインポートできるようになった

 また、IEやChromeからは、ブックマークだけでなく、閲覧の履歴やクッキー、パスワード、設定なども引き継げるようになったので、乗り換えも簡単だ。





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iOSとAndroid向けのEdgeがお目見えした

ズバッと解決! Windows 10探偵団
第329回

Android版は近日公開予定

2017年10月15日 12時00分更新

文● 柳谷智宣 イラスト●てりィS Factory 編集●E島/ASCII

 Windows 10の最新情報を常にウォッチしている探偵・ヤナギヤが、Windows 10にまつわるギモンに答える本連載。

 基本技から裏技・神技、最新ビルドのInsider Previewの情報まで、ドド~ンと紹介します。

iOS版とAndroid版のEdgeブラウザーアプリが発表された

監視報告
iOSとAndroid向けのEdgeがお目見えした

 2017年10月5日、マイクロソフトはiOSとAndroid向けのEdgeブラウザーを発表した。Windows 10 Fall Creators Updateで搭載される「Continue on PC」(「第298回 iPhoneからWindows 10にウェブページがシェアができるようになった」を参照)に対応し、スマホアプリで見ているウェブページを、PCに飛ばすことができる。出勤中に見ていたウェブページの続きを、オフィスの席に着いてから読めるようになるのだ。

スマホで閲覧しているウェブサイトをPCに表示できる。※GIFアニメが表示されない場合は、ASCII.jpをPC表示にしてご覧ください

 iOS版はすでに「TestFlight」のプレビュー版として公開されており、Androidのプレビュー版も近日公開予定。マイクロソフトのサイト(https://www.microsoft.com/en-us/windows/microsoft-edge-mobile)から登録しておけば、公開時に通知がもらえるようになる。どちらもまずは英語のみの対応で、正式版の公開は年内予定とのこと。

Android版を利用するならマイクロソフトのサイトから登録しておこう

 今回のEdgeアプリのリリースは、Windows 10ユーザーがスマートフォンでも快適にウェブを閲覧できるように、という方針。Windows 10 Mobileの状況が芳しくないので、Windowsを忘れないでね、というアピールのようにも感じられる。

 ちなみに、マイクロソフトの副社長Joe Belfiore氏は10月9日のツイートで、「Windows 10 Mobileのバグ修正などのサポートは続けるが、新機能や新端末の開発にはフォーカスしない」と言及している。

これでズバッと解決!

 iOSに対応するEdgeのプレビューアプリが公開された。Android版も近日公開予定。

 Windows 10探偵団は毎週、月・水・日に更新します。お楽しみに!

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マイクロソフト版のOpenSSHをWindows 10にインストールする

Windows Info
第102回

2017年10月15日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII編集部

Anniversary Updateで動作環境が整った

 OpenSSHは、Secure Shellプロトコルを利用するためのオープンソースソフトウェア。OpenBSDプロジェクトが開発の中心を担う。このOpenSSHには、SSHクライアント/サーバーの両方が含まれるが、GUIアプリではなく、コンソールウィンドウの中で実行するコマンドラインプログラムである。

 OpenSSHは以前より存在していてWindowsでも利用できたのだが、Windows側に問題があってSSHクライアントとしての利用が制限されていた。

 というのも、Windows 8まではコンソールウィンドウ内のエクスケープシーケンスがサポートされておらず、たとえばLinuxマシンに接続したとしても、Linuxアプリケーション側からは、画面制御が行えない「ダム端末」として使わざるをえず、たとえばスクリーンエディタなどを使うことができなかった。

 しかし、Windows 10 Ver.1607(RS1、Anniversary Update)でWindows Subsystem for Linuxが導入されたとき、Windowsのコンソールウィンドウでエスケープシーケンスが利用できるようになった。このためにOpenSSHを使って、Windows 10からLinuxなどのスクリーンエディタの利用が可能になった。さらにはOpenSSHをサーバーとしてもクライアントとしても利用できる。ここでは、OpenSSHのインストールについて解説する。

実際にダウンロードとインストールを行なう

 マイクロソフトが移植を行なったOpenSSHは、以下のURLから実行バイナリを入手可能だ。

https://github.com/PowerShell/Win32-OpenSSH/releases

 配布はZIP圧縮ファイルで、その中に必要な実行ファイルなどが含まれている。32bit版、64bit版、デバッグ用のシンボル付き、シンボルなしといったファイルがあるが、通常はシンボルなしの「OpenSSH-Win32.zip」または「OpenSSH-Win64.zip」のどちらかを選ぶ。前者は32bit版、後者は64bit版である。各自の実行環境に合わせて選択する。

 適当なフォルダを作ってその中でZIPファイルを解凍すれば、インストール自体は終了する。ただし、OpenSSHではインストール先フォルダ内に必要な情報をファイルとして保存するため、書き込み制限のあるフォルダーには置かないほうがよい。

 また、Program FilesやProgram Files(x86)フォルダには、書き込み制限がかけられていて、かつ過去のアプリケーションとの互換性のためにフォルダ仮想化の仕組みが働くため、ファイルが別の場所に置かれてしまう。そうなると、システムの移行時などに必要なファイルを探さねばならなくなる。

 なので本記事では、わかりやすくCドライブのルートフォルダーに「OpenSSH」というフォルダ(C:\OpenSSH)を作り、そこにインストールすることにする。もちろん、自由にフォルダを設定してかまわないが、その場合には、以下のコマンドなどで指定されているパスを自分の環境に合わせて書き換えて使用していただきたい。

 設定は、サーバーを動かす場合にのみ必要だが、Windowsマシンであっても、サーバーを動かす価値はある。ルーターのファイアウォール機能などを正しく設定すれば、インターネット側からでもアクセスが可能だし、ローカルネットワークでも、コマンドラインで済むような仕事ならいちいちリモートデスクトップを開いたり、他のマシンの前へ移動する必要もない。

 万が一、Windowsがマウスで操作できなくなっても、SSHによるリモートログインは動作できる可能性があり、コマンドラインからtasklist、taskkillコマンドで問題のあるプログラムを終了させることで、再び操作できるようになる可能性もある。これは、従来ならWindows付属のtelnetサーバーで同様のことが可能だったのだが、このtelnetでは、平文パスワードかNTLM認証しかなかったため、外部に持ち出すマシンに設定するのはセキュリティ上の問題があった。しかし、OpenSSHならば、セキュリティ上の問題も軽減できる。

 もちろん、開発者モードをオンにすると自動的に動き出すServer Broker版のSSHサーバーを使ってもいいのだが、情報がなく、たとえばクライアントの公開鍵をサーバーに登録する方法さえわからない(そもそも可能なのかどうかを含めて)。なので、SSHサーバーを動作させるならOpenSSHに切り替えた方がいいだろう。

OpenSSHを設定する前にしておくこと

 まず、「設定」→「更新とセキュリティ」→「開発者向け」で「開発者モード」を選択する。

開発者モードをオンにする。OpenSSHには直接関係ないが、開発者モードをオンにすることでPowerShellの実行ポリシーの設定がGUIからできるようになる

 これにより、GUIを使ってPowerShellの実行ポリシー切り替えが可能になる。そして、前回の記事を参考にしてServer Broker版のSSHサーバーを停止(開発者モードがオンの場合)させ、状態を「無効」として起動しないようにする。なお、Future Updateを適用するとServer Broker版のSSHサーバーの状態が「手動」に切り替わり、起動される場合があるので注意すること。

 また、MS版OpenSSHでは、設定にPowerShellを使う。このため、PowerShellの実行ポリシーを変更してローカルファイルの実行に、署名のないスクリプトファイルを利用できるようにする必要がある。「開発者向け」には、「PowerShell」という項目があり、ここに「署名せず……」というチェックボックスがある。

「設定」→「更新とセキュリティ」→「開発者向け」にある「PowerShell」の「適用」ボタンを押して、PowerShellの実行ポリシーを変更する

 この下にある「適用」ボタンを押しPowerShellがローカルファイルを署名なしで実行できるようにする。

 次に設定を確認する。それには、PowerShellを起動し、「Get-ExecutionPolicy -List」を実行する。「Current User」の横に「RemoteSigned」と表示されればOKである。

PowerShellを起動して「Get-ExecutionPolicy -List」コマンドの実行結果で「Current User」の右側が「RemoteSigned」になっていればOK

 なお、同じことは手動でも設定可能だ。それには、Win+Xキーで開くメニューやスタートメニューからPowerShellを管理者権限で起動し、以下のコマンドを実行させる。

実行ポリシーの変更を手動で行うなら、「Set-ExecutionPolicy」コマンドを使う。結果のチェック方法は同じ

Set-ExecutionPolicy -Scope CurrentUser RemoteSigned

 この「RemoteSigned」とは、ネットワーク経由でのスクリプトファイルの実行には、署名がつけられている必要があるが、ローカルのスクリプトファイルでは署名が不要という意味だ。

 次にコマンドラインから使いやすいように、OpenSSHをインストールしたパスをPath環境変数に登録する。このようにすることで、コマンドプロンプトウィンドウでは、フルパスを設定することなく、OpenSSHのコマンドが実行可能になる。

 「コントロールパネル」→「システム」→「システムの詳細設定」→「環境変数ボタン」で、環境変数のダイアログボックスを表示させる。2つのリストがあるが、上がユーザー個人の環境変数設定、下がシステム全体の環境変数設定である。

 複数のユーザーアカウントからOpenSSHを使う可能性を考え、下の「システム環境変数」で「Path」を選択して「編集」ボタンを押す。Path環境変数に登録されている実行ファイルのサーチパスがリスト形式で表示されるので、「新規」ボタンを押して、OpenSSHのインストールパス(C:\OpenSSH)を入力する。

 これで、OpenSSHのパスが設定され、以後、開くコマンドプロンプトウィンドウでは、OpenSSHコマンドを呼び出すことができる。基本的には、この状態でOpenSSHクライアントであるssh.exeが実行できるようになる。簡易な使い方としては、接続先のIPアドレスやLAN内のホスト名を引数にして

ssh PC1

などとすることで、SSHサーバーの動作している他のマシンに接続できる。

パス設定をすれば、SSHクライアントであるssh.exeの実行が可能になる

 ここまででとりあえず、クライアントが動作するようになったので、次回はサーバー側の設定を解説する。



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「2025年までに40TB」ウエスタンデジタルが超大容量HDD技術を発表

HDDは滅びぬ!何度でも蘇るさ!

2017年10月13日 20時15分更新

文● 天野透/ASCII

 米ウエスタンデジタルは10月11日(現地時間)、「Innovating to Fuel the Next Decade of Big Data(ビッグデータの次の10年に向けたイノベーション)」と題するイベントをシリコンバレーの本社で開催し、マイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)方式による超大容量ハードディスクドライブ(HDD)に関する新技術を発表した。

 HDD容量をさらに拡大するためには、書込みヘッドの小型化と、ビット情報を記憶する磁性粒子の極小化を必要とする。データの書き込み動作には一定の磁力をかけて、ディスクの粒子を上下方向のいずれかに整列する必要があるが、従来は書き込みヘッド付近の小型磁石による磁場で粒子を整えていた。

 課題はより弱い磁界でも粒子の整列に十分な磁界を発生させられるかという点。ディスク自体が低保磁力で製造される場合は低エネルギーでも粒子を整えられるが、ディスクの粒子は熱の影響を受けやすくなり、磁石が不意に反転してデータを失う可能性がある。したがってディスク容量を増やすには、ディスクは熱による磁力の不安定性を克服するのに十分な保磁力、ヘッドは低磁力で書き込み可能な性能という、相反する要素が要求されていた。

 MAMRはヘッドの書き込み磁極付近にスピントルク発振器(STO)を置いてマイクロ波を発生させ、従来よりも低い交流磁場を一時的に生成してディスクに垂直データを書き込むというもの。基礎理論は業界や学会で知られていたが、実際のヘッド製造に成功したメーカーはなかった。今回同社はSTOの製造技術と「Damasceneプロセス」と呼ばれる独自のヘッド成形技術を柔軟に組み合わせ、高信頼性と大容量を実現した小型STOを搭載するヘッド構造を開発したという。

 同社のテストによると、耐久性試験では平均してMAMRヘッドがHAMR(熱アシスト磁気記録)ヘッドの100倍良好だったとしており、書込み寿命時間の試験では99.99%のMAMRヘッドがHAMRヘッドより数桁以上も優れた結果を記録したという。学会の研究によると、MAMRには面積密度を4テラビット/平方インチまで拡張可能とされている。

 イベントでは同社技術者やカーネギーメロン大学のジミー・ズー教授によるプレゼンテーションが開かれたほか、MAMR方式によるHDDのデモンストレーションも披露された。同社はMAMR方式の超大容量HDDは、データセンターなどのエンタープライズ向けとして2019年から出荷開始予定とアナウンス。ヘリウム封入技術などを組み合わせることで記録密度をさらに向上させ、2025年までに容量40TB以上のHDDを開発し、その後もさらに拡大を続けるとしている。

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プリンストン、白色LEDバックライト搭載19.5型と21.5型の液晶ディスプレー

パーソナル向けとオフィス用をラインアップ

2017年10月13日 16時00分更新

文● 行正和義 編集●ASCII

「PTFBDF-20W/PTFWDF-20W」

 プリンストンは10月13日、白色LEDバックライト搭載の液晶ディスプレーを発表した。一般向け19.5型の「PTFBDF-20W/PTFWDF-20W」および、法人向け21.5型の「PTFBDE-22W/PTFWDE-22W」の2製品で、いずれも10月23日発売。

 PTFBDF-20W/PTFWDF-20Wは、表示解像度1600×900ドットの19.5型ワイド液晶を採用。白色LEDに加えてブルーライト低減モードなどを搭載。映像入力はDVI-D×1とD-Sub×1。ステレオスピーカーも内蔵する。

 本体サイズはおよそ幅473×奥行き180×高さ376mm、重量はおよそ2.7kg(いずれもスタンド含む)。スタンドは取り外してVESAマウントで壁掛け/ディスプレーアームを利用可能。実売予想価格は1万4904円。

「PTFWDE-22W/PTFBDE-22W」

 PTFWDE-22W/PTFBDE-22Wは法人向けに販売されるモデル。解像度1920×1080ドットの21.5型液晶パネルを装備、LEDバックライトを採用し、ブルーライト低減やフリッカー削減機能を搭載。ベゼル幅9.7mmの狭額縁デザインを採用することで画面サイズに比べて設置面積が狭いのが利点。

 映像入力はHDMI×1、DVI-D(HDCP対応)×1、D-sub×1。ステレオスピーカーも内蔵する。本体サイズはおよそ幅497.2×奥行き168×386.7mm、重量はおよそ2.9kg(いずれもスタンド含む)、スタンドは取り外し可能で背面にはVESAマウントを装備する。価格はオープンプライス。

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FRONTIER、第8世代CPUインテルCore i7-8700K搭載のハイエンドPCを発売

最新6コア12スレッドの処理性能でゲームにも実用用途にも

2017年10月13日 14時00分更新

文● 行正和義 編集●ASCII

 インバースネットは10月12日、FRONTIERダイレクトストアで発売する「ハイエンドGBシリーズ」に第8世代CPUインテルCore i7-8700K搭載モデル「FRGBZ370/87K」を追加。10月13日に発売した。

 CPUにインテルCore i7-8700Kを採用するほか、メモリー32GB(最大64GB)、ストレージにはM.2 SSDを512GBと2TB HDDを搭載。グラフィックスカードにはNVIDIA GeForce GTX1080Ti(11GB)やDVDマルチドライブ、80PLUS GOLD(850W)電源を装備する。

 キーボードおよび光学式マウスも付属する。価格は28万584円。

Office 2007の延長サポートが10月10日に終了

ズバッと解決! Windows 10探偵団
第328回

セキュリティホールの放置は禁物!

2017年10月11日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 イラスト●てりィS Factory 編集●E島/ASCII

 Windows 10の最新情報を常にウォッチしている探偵・ヤナギヤが、Windows 10にまつわるギモンに答える本連載。

 基本技から裏技・神技、最新ビルドのInsider Previewの情報まで、ドド~ンと紹介します。

Office 2007の利用は中止し、アンインストールしよう

監視報告
Office 2007の延長サポートが10月10日に終了

 2017年10月10日、Office 2007の延長サポートが終了した。マイクロソフトは、製品が発売されてから、最低5年のメインストリームサポートと、最低5年の延長サポートを提供している。この度、10年が経過し、すべてのサポートが終了することになった。この後は、脆弱性が発見されても更新プログラムが提供されることはない。

 とはいえ、アプリ自体はそのまま利用できるので、気にせず使い続ける人もいるだろう。次のPCを買い替えるタイミングで、Office付きにすればいいと考えているかも。しかし、これは大間違い。セキュリティホールを放置すると、大ごとになりかねないのだ。

 例えば、2017年4月には、Officeの脆弱性「CVE-2017-0199」(https://portal.msrc.microsoft.com/ja-JP/security-guidance/advisory/CVE-2017-0199)が発表された。細工されたRTFファイルをOfficeやワードパットで開くと、勝手にプログラムをインストールされてしまうというものだ。これはネットバンキングを利用しているユーザーが狙われた。

 利用しているアプリのひとつと軽く考えていると、想像以上にひどい目に合う可能性があるので注意すること。PC全体が暗号化されるランサムウェアにひっかかれば、プライベートなデータは全滅する。情報を外部送信するマルウェアに感染すれば、IDとパスワードが漏洩したり、最悪デジカメ写真なども流出する。

Office 365 Soloを利用すれば、契約期間中はずっとセキュアに使い続けられる

 セキュリティが切れたアプリは使わないだけでなく、PCからも確実にアンインストールすること。ちなみに、Office 2010のメインストリームサポートも終了しており、延長サポートは2020年の10月13日まで、Office 2013やOffice 2016はまだメインストリームサポートが提供されている。

これでズバッと解決!

 Office 2007の延長サポートが終了すると脆弱性が見つかっても対処されなくなるので、アンインストールする必要がある。

 Windows 10探偵団は毎週、月・水・日に更新します。お楽しみに!

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業界に痕跡を残して消えたメーカー ライバル同士の合併で崩壊したStardent Computers

 今回の業界に痕跡を残して消えたメーカーはStardent Computers、あるいはKGC(Kubota Graphics Corporation)の話である。

 両社は別物で、最終的にはKGCが買収し、そのKGCも買収されたわけだが、1985年あたりから1998年あたりにかけての動向をまとめて説明しよう。

グラフィックス特化型スパコンメーカー
Ardent Computer

 プレイヤーは大きく3社ある。最初の1社が、Ardent Computerである。Ardent Computerは1985年、Allen Michels氏とMatthew Sanders III氏、Ben Wegbreit氏、Steve Blank氏の4人によってサニーベルで創業した。

 この4人、もともとは1979年にConvergent Technologiesというベンチャー企業を興したメンバーでもある。

 Convergent Technologiesはインテルの8086をベースにしたIWS(Integrated WorkStation)、さらにこれのローコスト版のAWS(Advanced WorkStation)というハードウェアと、この上で動くCTOS(Convergent Technologies Operation System)という独自OSが動くシステムを開発した。

 ついでMegaFrameという、複数の68010ベースのシステム上で、UNIX System-IIIベースのCTIXというOSを動作させたマシンを開発、さらにCPUを8086→80186→80386(IWS/AWSライン)や68010→68020/68040に強化(MegaFrameライン)する形で性能の拡充を図る。

 Convergent Technologiesは1986年、3COMに買収される方向で話が進んでいたが、土壇場で3COM側がキャンセル。その代わりUnisysが1988年に買収し、同社のネットワークシステム部門の傘下に置くことになった。

 3COM/Unisysの買収以前に、創業者兼CEOであったMichels氏はSanders氏やWegbreit氏、Blank氏ともに同社を離れており、まずはDana Computerという名前で会社を興す。

 会社の目的はPersonal Graphics Supercomputerを作ることだった。Convergent Technologiesではそれなりにハイパフォーマンスな製品を作ることには成功したものの、特にグラフィック性能はフレームバッファに毛が生えた程度のものしかなかった。

 そうした面も含めて高いグラフィックス性能を持つマシンを、それもワークステーションレベルに実装したい、というのが同社の狙いであった。

 ただDanaという名前は、すでに小さなハードディスクメーカーに先に使われており、それもあって名前をArdent Computerに改称する。ちなみに後からパートタイムのエンジニアリング担当副社長として、VAXの開発者としても有名なGordon Bell博士が同社に加わっている。

 そのArdentで開発が始まったのが、後にTitanと呼ばれるマシンである。メインプロセッサーはMIPSのR2000(後にR3000に変更)であるが、これはどちらかといえばシステムのコントロールプロセッサー的な役割である。

 中核になるのは独自のベクトルプロセッサーで、長さ64bitレジスターを8192個持ち、1word(64bit)×8192~256word(16Kbit)×256まで構成を変えて処理できるという、これはこれで珍しい構成だった。

 このベクトルプロセッサーはALU/Mul(乗算)/Div(除算)の3つの処理を同時に行なうもので、ピーク性能は16MFLOPSとなっていた。

 メモリーは試作品では当時最先端だった4Mbit DRAMを採用し、最大128MB搭載可能だった(ただし量産品は価格の問題か、入手性の問題かは不明だが、1Mbit DRAMになった)。

 当然ながらプロセッサーあるいはメモリボードはかなり巨大で「ちょっとしたコーヒーテーブル並」、重さはおおむね20ポンド(9Kg)ほどあったらしい。

 最終的に完成したTitanの寸法は50×22.5×27.5インチ(127×57.2×69.9cm)で、このシャーシに10枚のカードを装着可能だった。


グラフィックスに特化したスーパーコンピューターTitan。手前のカバーは向かって左に開くが、ボード類の着脱は本体裏面からになっていた


10本のスロットが格納できることがこのアングルからわかる

 最大構成では2枚のCPU(R3000)ボードと4枚のメモリーボード、ベクトルユニット、それと2枚のグラフィックユニット、さらにI/O(SCSIやネットワーク、RS232Cなど)ボードが入る形になった。

 OSはAT&TのUNIX Sysetem V.3およびBSD 4.3に準拠したものだったそうで、開発言語としてはFortran 77にDECのVAX Fortran準拠の拡張を加えたものとC言語が提供された。

 またグラフィックに関しては、PHIGS+とCGI(ウェブサービスの方ではなく、Computer Graphics Interfaceという1982年頃の標準規格)、さらにDora(Dynamic Object Rendering Environment)と呼ばれるArdent独自のソフトウェアパッケージも提供されたが、このDoraは仕様が一般公開されたのはKGCの時代である。

 さて、ArdentはこのTitanを5万ドルほどの価格で売り出そうとしたが、すぐに非現実的なことが判明した。要するに5万ドルで売っても赤字にしかならないという話で、最終的には最小構成で7万9000ドルまで値上げせざるを得なかった。

 おまけに1986年の時点で同社はベータテストを始めたものの、不具合や機能/性能不足が判明し、さらに開発コストをかける必要があった。





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Windows 10次期アップデートで削除される機能たち

ズバッと解決! Windows 10探偵団
第327回

「ペイント」も非推奨アプリに!

2017年10月09日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 イラスト●てりィS Factory 編集●E島/ASCII

 Windows 10の最新情報を常にウォッチしている探偵・ヤナギヤが、Windows 10にまつわるギモンに答える本連載。

 基本技から裏技・神技、最新ビルドのInsider Previewの情報まで、ドド~ンと紹介します。

監視報告
Windows 10次期アップデートで削除される機能たち

 マイクロソフトはWindows 10 Fall Creators Updateから削除されたり、削除が予定されているアプリや機能の一覧を公開https://support.microsoft.com/en-us/help/4034825/features-that-are-removed-or-deprecated-in-windows-10-fall-creators-up)している。今後Windows 10を使うにあたり、これらの機能は使わないようにしようという、告知のようなものだ。

削除される機能

3D Builder app
Apndatabase.xml
Enhanced Mitigation Experience Toolkit (EMET)
Outlook Express
Reader app
Reading List
Resilient File System (ReFS)
Screen saver functionality in Themes
Syskey.exe
TCP Offload Engine
Tile Data Layer
Trusted Platform Module (TPM) Owner Password Management

※リストが表示されない場合は、ASCII.jpをPC表示にしてご覧ください。

 「ペイント」アプリが非推奨となり、ゆくゆくは削除されるとのこと。すでに「ペイント 3D」が搭載されているので仕方がないが、初期のWindowsから一貫して搭載されてきたアプリなのでちょっと寂しい。「ペイント 3D」の3D以外の使い勝手が向上することを期待したい。

非推奨になる機能

IIS 6 Management Compatibility
IIS Digest Authentication
Microsoft Paint
RSA/AES Encryption for IIS
Sync your settings
System Image Backup (SIB) Solution
TLS RC4 Ciphers
Trusted Platform Module (TPM): TPM.msc and TPM Remote Management
Trusted Platform Module (TPM) Remote Management
Windows Hello for Business deployment that uses System Center Configuration Manager
Windows PowerShell 2.0

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 Windows Server 2003とXP Professional x64に搭載された「Internet Information Services(IIS)6.0」も非推奨になった。今年に入ってからも脆弱性が発見され、セキュリティホールになっているので当然ではある。

 「3D Builder app」は「ペイント 3D」に置き換わるので削除された。とはいえ、どうしてもこちらを使いたいというユーザーのために、Windowsストアからダウンロードできるようにはなっている。「Enhanced Mitigation Experience Toolkit (EMET)」も削除され、「Windows Defender Exploit Guard」という機能に代替される。EMETはサイバー攻撃を防御するための機能だが、2018年7月31日にサポートを終了することになっている。これでも、ユーザーからの要望を受け18ヵ月間延長しているのだ。

 そのほか「Reader app」や「Reading List」はEdgeに統合され、「Outlook Express」のレガシーコードが削除されたりしている。

これでズバッと解決!

 Windows 10 Fall Creators Updateで「3D Builder app」や「EMET」が削除され、「ペイント」も非推奨アプリになった。

 Windows 10探偵団は毎週、月・水・日に更新します。お楽しみに!

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